研究会社アンペア・アナリシス(Ampere Analysis)によると、新型コロナウイルスのパンデミックの影響で、世界のエンタテイメント部門が、今後5年間で「1600億ドル(約17兆2240億円)の成長を失う」見込みであることが、現地時間2020年5月21日に発表された。
「最大の影響は2020年と2021年を通して感じられるが、この先5年間は毎年成長が減少するだろう」と同社は言った。「総損失は広告部門が最大で、部門のサイズに固定する相対的な影響を検討することも重要です。これに基づくと、劇場が最も大きな打撃を受けるでしょう。今後5年間で244億ドル(約2兆6271億円)の損失が予想されており、我が社の以前の予想を11%以上下回る収益となります」と続けた。
また、アンペア・アナリシスは、「最も成功」するのはストリーミングだと結論づけた。最新の予想によると、ストリーミングは5年間で収益がさらに12%増加することを示している。世界中で実施されているロックダウンにより、「ストリーミングの消費と新規サブスクリプションが大幅に急増し、ビデオ・オン・デマンドのサブスクリプション、テレビ放送局のビデオ・オン・デマンド、そしてその他の見逃し配信サービスに利益がもたらされる」と同社は説明した。
テレビとオンラインの広告市場では、2020年に400億ドル(約4兆3000億円)近く、2021年には430億ドル(約4兆6300億円)の収益を失うことが予測されている。2022年には回復が開始するものの、同社による過去の予測レベルよりも全体で下回るそうだ。
「広告は短期的にも総体的にも最も大きな打撃を受けますが、エンタテイメント市場の精緻な分析によると、劇場などの部類が相対的に打撃が大きいことを示している」と同社研究部長のガイ・ビソンは説明した。エンタテイメントの価値が連鎖し相互接続している性質上、他の領域にも多くの影響があることを意味します。そのうちのいくつかは、今後数年間完全には感じられないでしょう」と続けた。例えば、休業中の映画館は劇場の収益に即座に影響するが、「長期的な影響は、来年過剰供給される映画がリリースのタイミングをめぐって争うことで、映画製作の減速につながり、最終的にコンテンツの獲得と配信に影響を与える可能性がある」とアンペア・アナリシスは強調した。
一方、ストリーミング・サービスは「多数の新しいプラットフォームが市場に新規参入するのと同じように、視聴者がストリーミングのコンテンツ・プロバイダーに大きく依存しているため、トップになる可能性が高い」とビソンは主張した。「ロックダウン後に一時的に反動する可能性はあるが、長期的な見込みの鍵となるのは、ストリーマーに利益をもたらすための消費者の行動変化の加速でしょう」と続けた。
パンデミックでライブ・スポーツがなくなったことで苦しんでいる有料テレビは「構造的にすでに困難な市場において、大きく価値を失っている。以前の予測価値の約4%の価値」とアンペア・アナリシスは推定する。他のアナリストはパンデミックとその後の不況の中、有料テレビの加入者の減少が加速すると予測している。
クレディ・スイスのアナリストであるダグラス・ミッチェルソンは、最近のレポートでパンデミックによる影響を「新型コロナウイルスによる損害は金利、税金および減価償却前利益で300億ドル(約3兆2268億円)」とタイトルで要約している。