辞職ドミノで激震が走っている広島県政界―-。
昨年7月の参院選をめぐり、前法相で衆院議員の河井克行容疑者と妻で参院議員の案里容疑者が公職選挙法違反(買収)容疑で逮捕された事件をめぐり、県内の首長2人の辞職と地元の県議、市議ら37人がすでに辞職表明している。本誌が入手した「買収リスト」には約40人の地元議員の名前、住所、買収金額などが記されていた。リストによると最高金額は奥原信也県議の200万円。次に三原市長を辞職に追い込まれた、天満祥典氏の150万円。2回、3回とカネを河井夫妻容疑者から受領している議員もいる。自民党幹部がこう話す。
「河井夫妻容疑者からカネをもらった市議、県議が辞職して税金で、選挙となれば、自民党惨敗は必至。格好がつかない。広島は安倍首相の後を狙う、岸田文雄政調会長のお膝元でもある。今は、自民党本部で調整して市議、県議らへの穏便な対応とすることができないか検討している」
一方、6月30日にはウグイス嬢に法定額に2倍にあたる3万円の日当を支払っていた容疑で逮捕されている克行容疑者の元政策秘書・高谷信介被告の公判が広島地裁で行われた。
この日、証言に立ったのは、案里容疑者にウグイス嬢を紹介した渡辺哲司氏。法廷でウグイス嬢の日当が「河井ルール」で3万円と決まったことを証言した。渡辺氏は、1度、克行容疑者の衆院選で選対として陣営に入った経験もあり、以下のように克行容疑者の関与を証言した。
「日当3万円はその時から知っていた。案里容疑者も同じかなと思って、高谷被告に聞きました」
「高谷被告は克行容疑者に確認して『(法定金額の)1万5千円では誰も応じないですよね、3万円でいいです』と言っていた。そう伝えてきたと思う」
「(日当3万円の最終決定権は)克行容疑者にあったと思います。高谷被告は伝書鳩のようなものという感じはありました」
克行容疑者が主導して、高額で違法な日当が決まったという見方を示した。渡辺氏の妻は渡辺典子広島県議。選挙区の広島市安佐北区は克行容疑者の地盤で、衆院広島3区と同じだ。その地元のつながりから克行容疑者と関わるようになったという。選挙を手伝ったり、克行容疑者の広報誌「月刊河井克行」の制作も手掛けていた。本誌の直撃に対し、渡辺氏はこう話す。