両社とも新型コロナウイルス対策はしっかりと行っている企業だ。コロナ対策についてもホームページ上で公開し、どのような対応をしたのかも説明している。それでも多くの店舗で従業員に感染者が出てきている。飲食店の感染症対策に詳しい専門家はこう見る。

「スタバやマックが危険ということではなく、今は社会全体で感染者が増えている状況。中でも若い年齢の人たちが多く感染しています。この人たちは飲食店でバイト従業員として働いていることが多い。各飲食店では感染症対策をかなりしっかりとやっているので、業務中に感染したというよりは、日常生活で感染しているのではないでしょうか」

 いま猛威を振るっているデルタ株はこれまでのアルファ株よりも1・5倍ほど感染力が強いなどと言われている。このまま感染拡大が続くと、東京都では8月中に感染者が3500~5000人以上になると指摘されている。今回のグラフも見ても、感染が至るところで拡大している様子がうかがえる。

 どうしたらいいのか。先の感染症の専門家はこう語る。

「前よりも感染力が強いということは、より徹底して対策を強くしないといけない。生半可の対策では感染してしまうことを示唆している。飲食店だけではなく社会の全員に、三密を避ける、マスクをする、手を洗う、黙食するなど感染症対策の基本を改めてただしく実行してほしい」

 ワクチンの有効性が強調される一方で、若い層への接種はまだ全然進んでいない。自粛疲れやコロナ慣れが指摘されているが、改めて基本的な対策を徹底する必要に迫られている。

(文/AERA dot.編集部・吉崎洋夫)

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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