「たとえば、皇女制度を考えたとき、黒田さんが対象となる可能性はあるのだろうか」
【貴重なショット】自家用車を自ら運転する“サーヤ”黒田清子さん
4月、首相官邸に集まった有識者会議のメンバーの口から、そんな言葉が飛び出した。「黒田さん」とは、上皇ご夫妻の長女、黒田清子さん(紀宮さま)のことだ。サーヤの愛称で知られた紀宮さまは、2005年に都庁職員の黒田慶樹さんと結婚した。
菅政権は、この3月に安定的な皇位継承のあり方を議論する政府の有識者会議を設置した。座長となった清家篤・前慶應義塾長のもと、女性・女系天皇の議論のほか、結婚した女性皇族の立場も議論の焦点だ。
ひとつは、女性皇族を当主とする宮家を創設して皇室にとどまる「女性宮家」。二つ目は、皇籍は離脱したのちも「皇女」の尊称を贈り、民間の立場から公務の仕事を委嘱する「皇女」案だ。
その「皇女」候補として、有識者会議のメンバーの口から清子さんの名前が出たのだ。実は、清子さんの名前が出たのは、初めてではない。野田内閣で「女性宮家」の議論がなされた際にも、民間から公務を手伝っていただきたい、という声があがっていた。
15年も前に皇籍から離脱した元内親王。いまだに復帰を期待する声は消えない。
深い知性と教養を兼ね備えながらも、ひかえめな人柄と、誠実に公務に取り組み続けた姿勢を国民が忘れていないからだ。
そしてこのタイミングで、始まった有識者会議の議論だ。「女性宮家」や「皇女制度」が語られるとき、第1号として念頭に置かれていたのは、秋篠宮家の長女で現役の内親王であった眞子さまだ。上皇后さまにも、「さすがは内親王ね」と期待をかけられながら、公務に熱心に取り組む生真面目さと、一方でおっとりした性格は、周囲に愛された。
眞子さまには、こんなエピソードがある。2012年に埼玉県にある宮内庁の鴨場で、眞子さまは外国大使の接待役を務めた。大使夫妻らの前で、鴨を放鳥したはずが、鴨は地面を走って逃げだしてしまった。慌てて追いかける愛らしい姿に、その場は和んだという。
国民からも愛された眞子さま。だが、婚約内定者である小室圭さんの金銭問題で世間の空気は一変した。
「元婚約者への対応については、眞子さまの方針も影響していた、と皇嗣職大夫が会見で口にしてからは、国民の批判の矛先も向けられた。国民に愛され、期待されていた眞子さまへの敬愛の声は、小さくなりつつある」(元宮内庁職員)