5年前の秋、知人の店にいた3匹の子猫の中から、一番元気な雄をもらってきました。名前は、その店がある場所の地名からとって「竜」(写真)。孫がいないので、わが家の孫として私たち夫婦と息子の3人で可愛がってきました。
当初、生後2カ月くらいで体重も1キロぐらいだったのが、1年後には6キロにもなったので驚きました。
彼は午前中はほとんど家の中で眠り、冬以外は午後になると外に出かけて狩りをします。1日に数匹のネズミを捕っているようで、おすそ分けのつもりか、玄関に1匹置いてあることがよくあります。
夕方になるといったん家に帰りますが、夜になるとまた出かけてそのまま外泊し、朝帰りして昼まで眠るという生活です。
エサをやるのは主に私。体にブラシをかけたり大好きな首揉みなどをしたりするのも私です。
去年、私は病気で半月ほど入院しました。その間、竜はとても寂しそうにしていたそうです。
退院した私が車に乗って帰ってきたのを見つけると、竜はボンネットに飛び乗ってうれしそうにしました。
その晩は一度も外出しないで私の枕元で朝まで眠り、翌日も外に出かけません。まるで、私の付き添いをしているようで、見舞いに来た娘は、「竜、お母さんの付き添い、しっかりお願いね」と言って帰りました。
竜は、8月から秋にかけての月夜の晩になると、夫のオートバイのシートに座って、2時間もじーっと月を見ていることがあります。
家族の間では、「竜はきっと月の生まれで、帰りたいなぁと思っているんだろう」ということになりました。それでこの時期には「かぐや猫」と呼んだりしていますが、そのうちほんとに月に帰って行きはしないか、ちょっと心配です……。
(竹内祐子さん 岩手県/74歳/主婦)
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