「芸能人は歯が命」のテレビCMで、一躍脚光を浴びた美白歯みがき「アパガード」。
「アパガード」を生み出したサンギは、今年で創業50周年を迎える。一時は倒産の危機にありながらもV字回復を遂げた功労者が、現在の代表取締役社長ロズリン ヘイマンさんだ。サンギのこれまでの歩みとともに、ロズリン社長の生き方について聞いた。

歯や骨の主成分であるハイドロキシアパタイト

 1974年に、現会長の佐久間周治氏を含めた3人で貿易商社としてスタートしたサンギ。現在は社員100人以上を抱える優良企業として、今年で50周年を迎える。

 サンギは、歯や骨の主成分であるハイドロキシアパタイトをベースに、商品を研究・開発している「アパタイトカンパニー」だ。ハイドロキシアパタイトは、歯や骨の主成分であるリン酸カルシウムの一種で、水分、タンパク質と同様に人体を構成する重要な成分。歯の表面を覆うエナメル質の97%、象牙質の70%はハイドロキシアパタイトで構成されているため、人体との親和性も高い。

NASAの特許技術にヒントを得て、歯みがき剤に配合

サンギのロズリン社長は、ハイドロキシアパタイトについて次のように説明する。

「NASA(米国国家航空宇宙局)が、無重力の環境下で宇宙飛行士の歯や骨を守るため、歯と骨の構成成分を充填する技術研究をしていました。その技術をヒントに、当時社長だった夫が『歯と同じ成分なら、歯みがき剤に配合することでむし歯予防に役立つのでは』と考え、研究を始めました。夫はアイデアマンで、突拍子もない発想力があるのです」

 1993年、臨床試験やさまざまな検証を重ねた末、開発した成分はむし歯予防効果のある薬用成分「薬用ハイドロキシアパタイト」となった。構想から認可までに15年もの年月を要している。特徴は歯とほぼ同じ成分であり、3つの作用でむし歯を予防すること。

「3つの作用とは、むし歯の原因となる歯垢を吸着して取り除く、歯の表面にあるミクロの傷を埋めてなめらかにする、歯から溶け出したミネラルを補給して再石灰化することです。私たちは、薬用ハイドロキシアパタイトを歯みがき剤に配合して医薬部外品としての商品化に成功しました」

薬用ハイドロキシアパタイト3つの作用(提供画像)

CMで一躍脚光。急成長から一転倒産寸前に

 サンギのオーラルケア商品には、すべて薬用ハイドロキシアパタイトが配合されている。代表的なのが、美白歯みがき「アパガード」シリーズだ。95年には、「芸能人は歯が命」のコピーを使ったCMが話題となり、95年の売上高が約30億円だったのに対し、翌年には140億円を超え急成長を遂げた。とはいえ、その先も順風満帆だったわけではない。競合他社の追随に加え、急激な事業拡大による流通の管理機能不全、労働力不足といった社内の問題が次々と露呈し、一時は倒産寸前にまで追い込まれた。

 そんな会社の現状を前にして、当時社長であった夫と会社を何とか支えようと入社を決意したロズリン社長。入社した当初、外国人、女性、マーケティング未経験という彼女に対して、社員からは「特に歓迎されているとはいえませんでした」と苦笑いする。

「片隅のデスクでひたすら会社の資料を読みあさり、仕事の流れや実情の把握に努めていました。また、マーケティングのプロに頼んで独自で勉強も開始。同時に、会社だけでなく生活費もままならない状態だったので、昼間はサンギ、夕方から時事通信社で英文記事をチェックする副業という二重生活を2年近く続けていました」

「50年間を振り返ると山あり谷ありでした」とロズリン社長

夫や仲間のサポートで「何とか乗り越えられる」と

 やがて、ロズリン社長は事業の整理に取りかかる。赤字だった米国の子会社をたたみ、国内事業に集中した。ブランディングを再構築し、マーケティング力を強化。また、価格を維持し商品価値を上げることにこだわった。2002年には、14種類あった商品を2~3種類に厳選。08年に若いマーケティングチームのサポートで「アパガードプレミオ」を発売後、業績が明らかに上昇し始め、10年には無借金経営を実現させている。

「つらいときもありましたが、『何とか乗り越えられるだろう』といつも思っていました。夫は私の意見に耳を傾け、味方になり認めてくれましたから。その信頼に支えられました。そんな私についてきてくれた社員にも感謝しています」とロズリン社長は当時を振り返る。

「アパガード」は、働く女性に特に支持されている。中でも「アパガードプレミオ」は、国内大手美容口コミサイト※のアワードで殿堂入り(提供画像)
全て医薬部外品、薬用歯みがき
左から、商品名(販売名):アパガードソフト(サンギMG)、アパガードMプラス(サンギMPC)、アパガードスモーキン(サンギMSC)、アパガードセレナ(サンギMSR)、アパガードプレミオ(サンギXLC2)、アパガードプレミオエクストラミント(サンギXLC2(X))
※@cosme

育児休業、フレックス、在宅勤務、社員向け歯科医院も

 現在、全社員の半数以上が女性というサンギは、社内でも積極的な改革を行い、特に女性への配慮を欠かさず働きやすい職場づくりに尽力している。例えば、育児休業は規程に応じて子どもが3歳になるまで取得でき、復帰する社員も多い。

 そのほか、フレックスの活用、介護休業制度、年間136日(2024年度)という手厚い休暇など、“社員ファースト”の福利厚生が充実。オーラルケア製品を扱う企業ならではの社員向け歯科医院「Sangi Dental Clinic」も開設されている。社員とその同居家族は、歯科検診および治療を無料で受けられるそうだ。

「ワーク・ライフ・バランスを重視して、在宅勤務なども積極的に導入しました。近年は、育児だけでなく親の介護と仕事を両立する社員も増えています。そんなときは在宅勤務を促し、少しでもサポートできればと思っています」

アパガードのほか、スキンケア商品など、サンギは常に女性の働き方や生き方に寄り添い、応援する商品開発を進める(提供画像)

自分を信じ、気持ちに従ってアクションを

3月8日は国際女性デーだ。女性が自分らしく働くためのメッセージとして、ロズリン社長は次のように語った。

「会社が不振だったときに思ったのは、一気にすべての問題を解決するなんて不可能だということ。だから入社当時は、一つひとつ目の前の問題をクリアしていくことを大切にしていました。誰もが日常の中で問題を抱える場面があると思いますが、あきらめないで、地道な努力を重ねることを忘れないでください。勉強、夫婦生活、子育て、介護など、それぞれ事情があっても、ぜひ両立させて社会で力を発揮してほしい。迷ったときこそ自分を信じ、気持ちに素直に従ってアクションを起こしましょう。失敗しても大丈夫。そこに何らかの気づきがあり、思ってもみない道しるべが見つかるかもしれません」

健やかで美しい世界をサポート

 設立以来、“人と自然の持つ再生能力を高め、本来の健やかで美しい世界をサポートしていきたい”という理念のもと、研究開発に日々取り組んできたサンギ。創業50周年という節目を迎えるにあたり、「あなたと輝く毎日へ」というコーポレートスローガンを掲げ、周年を記念した特設サイトを開設した。

 サイト内では“生活に寄り添い続け、共に歩んでいきたい” “毎日が素敵に輝くような価値ある商品をこれからも提供していく” という想いを動画とともに届けている。

サンギ50周年特設サイトはこちら >

株式会社サンギ 代表取締役社長
ロズリン ヘイマン

オーストラリア生まれ。1972年に日本へ留学。77年に東京大学大学院修了。同年、在豪日本大使館に勤務後、通信記者、証券アナリストなどを経験し、99年サンギ入社。経営企画室長、代表取締役副社長などを経て2016年から現職。
サンギ社長の輝くインタビューブログ「ロズリンの部屋」
http://roslyn-blog.apagard.com