不適切な投稿を受け、各社が発表した謝罪文。アルバイトを解雇しても、悪化したイメージはすぐには回復しない(撮影/写真部・掛祥葉子)
不適切な投稿を受け、各社が発表した謝罪文。アルバイトを解雇しても、悪化したイメージはすぐには回復しない(撮影/写真部・掛祥葉子)

 アルバイトらによる相次ぐ不適切な動画投稿が企業を苦しめている。損害額は億単位になる可能性があるが、請求しても取り戻せない公算が大きい。

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 飲食店やコンビニエンスストアなどを舞台にした「不適切動画」が止まらない。アルバイト先で提供する食品を不衛生に取り扱ったり、行きすぎた悪ふざけをしたりする様子を自ら撮影して投稿する愉快犯的行為が連鎖反応している。

 昨年12月6日には、カラオケ店「ビッグエコー」とみられる店舗で、から揚げを厨房の床にこすりつけてからフライヤーで揚げようとする様子の動画が投稿され、運営会社の第一興商が同日にお詫び。今年に入っても、1月末に牛丼店「すき家」で股間におたまを当てる▽2月6日、「無添くら寿司」で魚の切り身をゴミ箱に放り込んでからまな板に戻す▽同10日、中華ファミリーレストラン「バーミヤン」の厨房で調理用コンロの炎でたばこに火をつけ一服する(投稿は昨年3月)▽同11日、セブン-イレブンで従業員がおでんのしらたきを口に入れ、吐き出す──といった動画が次々とSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に投稿され、拡散した。

 それぞれの経営母体は自社のホームページなどでこれらの行為を謝罪。警察に被害届を出したり、民事で損害賠償を求める準備を始めたことなどを明らかにしているが、企業イメージへのダメージは避けられない。

 こうした「バイトテロ」は今回が初めてではない。13年6月から8月にかけて、高知県のローソンで店員がアイスケースに入って寝そべる姿をフェイスブックに投稿▽神奈川県内のファミリーマートで防犯カメラに記録されていた客のサッカー選手の映像をツイッターで公開▽都内のステーキハウスで冷蔵庫に入ってふざける様子を投稿──などが相次いだ。

 なかでも東京都多摩市のそば屋「泰尚」で従業員が食洗器や冷蔵庫に寝そべってふざける姿を投稿したケースでは、「不衛生」との批判が相次いで営業停止に追い込まれ、再開することなく同年中に東京地裁から破産宣告を受けるなどの実害が出た。

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