ラスベガスのカジノの場合、入場は無料で、大金を賭けるハイエンドの客から、1セントのスロットマシンで楽しむ客まで幅広い客層を扱うマーケットになっている。
「それに対して日本は、シンガポールと同様、カジノでカジュアルに遊ぶのを国の方針として認めないということです」
大阪府・市などがまとめた計画では、初期投資金額は約1兆800億円、年間来場者は約2千万人、年間売り上げは約5200億円を見込んでいる。そのうちの約8割はカジノによるものだ。
「来場者2千万人という数字は集客のプロモーション次第でなんとか達成できるのではないかと思います。IRには6千円の入場料が必要なカジノ以外にもフリーゾーンがありますから。ただ、売り上げの約5200億円については、かなりチャレンジングな数字だと思います」
なぜ、達成困難と感じられる売り上げが見込まれているのか。
「事業者選定の際、それぞれの事業者が勝つために大阪府・市に初期投資金額をリップサービスしました。最初、ラスベガス・サンズが1兆円と言い出して、それに他の事業者も続いた。つまり、初期投資金額の約1兆800億円はかなり盛られた数字で、そこから逆算して、採算がとれるような売り上げ金額を出したら、約5200億円になったと見ています」
カジノ大手MGMはどう動く?
大阪カジノIRを運営する「大阪IR株式会社」には「MGMリゾーツ・インターナショナル」の日本法人などが出資する。MGMは世界規模でカジノを運営する会社で、豊富なノウハウを持っている。
「MGMの強みはマカオで約20年間、カジノを運営してきたことです。その顧客に対して『日本で新しいカジノができました』と、プロモーションを行い、集中的に送客すれば、一定程度、売り上げを押し上げられるでしょう。MGMはそれだけの能力を持っています。当然、マカオの売り上げは下がるので、MGMがどのようなグローバル戦略をとるか、にかかっていますが」
長年にわたり、政治に翻弄されてきた日本のカジノIR整備計画。
「開業する前からいろいろミソがついている感じではありますが、日本人は外の文化を受け入れて、自国流にアレンジするのが得意です。日本ならではのカジノ文化が形成されるといいなと、思っています」
(AERA dot.編集部・米倉昭仁)
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