実は1年前に見つかっていたが隠していたこと、陸自だけでなく航空自衛隊などほかの部署にも保管されていたことも、相次いでわかった。防衛大臣は、おわびと釈明に追われた。
さらに約1週間後の4月上旬、今度は加計学園による獣医学部新設計画の新文書が愛媛県で見つかった。そこには安倍首相の秘書官(当時)の発言として、「本件は、首相案件」と明記されていた。
加計学園の理事長は安倍首相の長年の友人だ。学園の新設計画は、地域を限って規制緩和を認める「国家戦略特区」の制度を用いて進められた。野党は学園を特別扱いしたのではないかと指摘したが、政府は「加計ありき」ではないと反論した。
「首相案件」文書は、愛媛県の職員が15年4月、首相官邸で秘書官と面会した後に作られたとされる。だが、元秘書官は「記憶がない」などと面会の事実を否定している(4月末現在)。
ただ、昨年6月には、文部科学省で「総理のご意向」などと書かれた別の文書も見つかっている。やはり「加計ありき」ではなかったのか。秘書官はウソをついていないのか。野党は追及を強めている。
■官僚は何を守ろうとしているのか?
公文書の管理は情報公開とともに、国民の「知る権利」を支える車の両輪である。その重さに目を向けず、自らに都合の悪い文書の存在を認めない。そんなことがまかり通れば、誰も行政を信じられなくなる。
公務員が公文書を否定し、改ざんにまで手を染める。国会では、はぐらかしや信頼性に欠ける答弁を連発する。そうまでして、いったい何を守ろうとしているのか。
森友、加計問題で注目が集まっているのが、安倍首相の国会答弁だ。
「私や妻が関係していたということになれば首相も国会議員も辞める」。森友問題を追及された首相は昨年2月、そう言い切った。加計問題では、昨年1月20日に獣医学部新設の計画を初めて知ったと繰り返している。
もしこの答弁が覆れば、政権への打撃は計り知れない。首相の言い分に反するような事実は徹底的に取り除く。官僚たちにそんな動機はなかったのか。
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