【キーワード:月周回衛星「かぐや」(SELENE)】


2007年から09年にかけて活動した日本の衛星。「アポロ計画」以後、最大規模の月探査プロジェクトで、月の上空100・を回りながら月の観測を続けた。

【なぞ2】 月のなぞはまだまだある!

<月はどうやってできた?>
 月がどのようにできたかは、大きななぞだ。以前から主に親子説、兄弟説、他人説の三つの説があった。月の石が持ち帰られた結果、月にマグマの海があったらしいとわかった。その理由を説明するために考えられた「ジャイアント・インパクト説」が最も有力となっている。

(1)親子説
地球の一部が飛び出て、月ができた。

(2)兄弟説
地球と月が同時にできた。

(3)他人説
遠くで生まれた月が地球に近づき、つかまった。

(4)ジャイアント・インパクト説
地球ができたてのころ、大きな天体が地球にぶつかり、飛び出した破片が集まってできた。

<巨大な縦孔の中はどうなっている?>
 月に縦孔があることはわかったが、中がどうなっているかはなぞだ。もしもトンネルのように広い空間が広がっていたら、そこに地下基地をつくって住むことも考えられる。

<水はある?>
 月に水があるかどうかは、月で暮らせるかを左右する大きななぞだ。これまでの観測で、月の北極や南極に、一年中日が当たらない「永久影」があることが確認され、その地下に大量の氷があるのではないかと考えられているが、はっきりしていない。

<表と裏はなぜちがう?>
 月の表と裏がちがうのは岩石の成分だけではない。裏側は「海」と呼ばれる黒っぽい部分が少ないなど、見かけもちがっている。こうしたちがいがなぜ生まれたか、理由はまだわかっていない。

【なぞ3】 最新技術でなぞに迫れ!

<着陸技術を高めろ! 「SLIM」 (日本 2019年度打ち上げ予定)>
 縦孔の中や氷の有無を調べるためには、月のねらったところに着陸する必要がある。しかし、これまでの技術では、着陸したい場所からはるか遠くにずれることがあった。そこで、ねらったところにどこでも着陸できる技術を開発し、それを実証する。

<月の裏側に着陸せよ!? 嫦娥(じょうが)4号 (中国 2018年打ち上げ予定)>
 なぞに満ちた月の裏側への、世界初の着陸を目指す。着陸以上に困難とされた月の裏側から地球への通信技術も開発している。

【キーワード:小型月着陸実証機「SLIM」】
JAXAが計画している日本初の無人月面軟着陸機。「Smart Lander for Investigating Moon」(月探査のためのスマートな着陸) の略。2019年度の打ち上げを目指す。

(監修/大阪大学准教授・佐伯和人)

※月刊ジュニアエラ 2017年8月号より

ジュニアエラ 2017年 08 月号 [雑誌]

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AERA dot.編集部
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