塾や習い事で忙しい現代の小学生。それにともなう親の悩みもさまざまです。『AERA with Kids冬号』では、歌手・エッセイストとして活躍するアグネス・チャンさんがママたちのお悩みに答えています。アグネスさんの三人の息子さんたちは、全員、名門・スタンフォード大学に合格。三人三様の個性を伸ばし、サポートしてきたアグネスさんも、同大学の教育学部博士課程で学んでいます。教育の専門家と母の両面からアドバイスをもらいました。

【Q1】子どもの勉強への取り組み方に関して、夫婦の間に温度差があります。私は中学受験経験者ですが、高校まで公立の夫は今のうちはもっと遊ぶことが大切だといいます。息子が塾の宿題に取り組んでいるときにも「大変だなあ」なんて声をかけていて、子どものやる気をそぐようで……夫婦とも同じくらいの熱量で勉強させたいのですが。(小5男子の母)

【アグネスさんの回答】きっと、旦那さんは自分の人生に自信があるんですね。そんな男性を結婚相手に選んだのは、無意識に自分とのバランスを取ったということで、お母さんの賢さがわかります。受験という競争の中でがんばって今日がある母さんと、競争しなくても自己肯定力が高いお父さんのおかげで、子どもはより幅広い人間に育つと思います。子どもの様子を見て、疲れているなと思ったらお父さんが癒やし、緩んできたなと思ったらお母さんが緊張させる。それでいいの。な~んにも問題なし! 両方で追い詰めたら、たとえ受験に成功しても楽しくないでしょうね。

【Q2】公立の中高一貫校を受験させたいと思って小4から塾に通っています。我が家は、子どもが3人いるので経済上、公立しか無理。ところが、塾に通ううちに「やはり私立も受けたほうがいいのかしら」と心がグラグラ揺れています。なんだか親の姿勢がブレているようでイヤなのですが……。(小4女子の母)

【アグネスさんの回答】ブレではなく成長中なのよ。決めたことを貫くのも立派な姿勢だけど、子どもの成長に合わせて親の考えも変わって当たり前。むしろ変わるべきなんです。それが親としての成長です。絶対に公立というのも、それはそれで計画的なすばらしい考えです。でも、やっぱり私立に行かせようかなとひらめいたということは、その子に何か可能性を感じたのよね。親の直感。迷ったときは、直感を信じてパッと行動しちゃうのもひとつの手。自分が働く、親に援助を頼むなど、金銭面の打開策も何か生まれるかもしれません。

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AERA dot.編集部
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