うんちを観察すると、自分の体調がよくわかるという。では、“悪いうんち”ではなく“よいうんち”をするには、どうすればよいのだろうか? 毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』11月号でうんちを大特集。監修は、理化学研究所特別招聘研究員の辨野義己(べんのよしみ)先生だ。
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よいうんちをするには、三つの「うんち力」が必要だ。
【1.うんちをつくる力】
うんちの質は食べ物が重要になる。理想のうんちをつくるには、野菜や豆類、イモ類、海藻、キノコなど、食物繊維が多い食品を使った食事を、よくかんで食べることが大切だ。肉を食べたら、その3倍の重さの野菜をとってほしい。野菜をたくさん食べるとうんちの量が増える。うんちをする前と後に体重を量って、その差を計算すれば(※注1)出たうんちの重さがわかるよ。
【2.うんちを育てる力】
善玉菌が多い腸内環境を保つことが、よいうんちを育てることになる。そのためには、ビフィズス菌、乳酸菌を多く含むヨーグルトや乳酸菌飲料を毎日とるとよい。菌数の多いヨーグルトなどを、1日200~300グラムくらいとるようにしてほしい。
【3.うんちを出す力】
うんちが直腸まで来ても、出す力が弱くてはよいうんちができない。だから、腸腰筋(※2)を鍛えよう。たくさん歩くこともよいが、体を楽しく動かしてリラックスすることがとても大切だよ。家族や友達と卓球やバドミントンなど、軽いスポーツをするのもいいね。
そして、最も重要なことは、うんちを我慢しないことだ。出したくなったら出すことが、とても大切! そのためには、朝ごはんを食べた後に時間の余裕が必要だね。朝早めに起きて、ごはんをしっかり食べ、すっきりうんちをしてから学校に行こう! もし学校でうんちがしたくなったら、遠慮しないでトイレに行ってうんちをしようね!
※注1)おしっこ1回あたり約100g(子どもの場合)も引く
※注2)腸腰筋=背骨、骨盤、股関節をつなぐ筋肉
■小児外科の医師からのアドバイス「リラックスできる時間を大切に!」
中野美和子先生/さいたま市立病院/小児外科部長
子どもの場合、うんちを我慢し続けると、便がたまって直腸が拡大してしまいます。すると、「うんちがしたい」という便意を感じにくくなります。その結果、無意識のうちにうんちが漏れる「便失禁」を起こすことがあります。便秘がひどく、おなかが痛いことが原因で不登校になる子どももいます。うんちが週に1、2回しか出ないような場合は、排便外来や便秘外来に相談して治療しましょう。
今の子どもたちは、学校から帰ってからも塾や習い事で忙しく、常に緊張しています。これが実はよくありません。胃や腸はリラックスしたときに活発に働きます。緊張が続くとうまく働かなくなります。ですから、毎日の生活の中でリラックスできる時間を確保することが、とても大切なんですよ。
※月刊ジュニアエラ 2016年11月号より