また、人と人との距離をとり、マスクをつけ、こまめにていねいに手洗いをすることは、「感染確率」を下げるために効果があると考えられる。緊急事態宣言下の自粛期間中、こうした対策を私たち一人ひとりが守ったことで、感染拡大が抑えられたのだ。

 数理モデルは、このほかにも社会のいろいろなところで使われている。例えば、車の渋滞が起きるしくみを数理モデルで解明し、渋滞解消につなげる取り組みも実際に行われている。きみたちが今、勉強している算数や数学が、より安心で暮らしやすい社会の実現に役立つのだ。

【実効再生産数】
実際の社会で、1人の感染者が何人に感染させるかの平均を数値で示したもの。この値は、人と人との接触を減らすなどの対策により、減らせる。1人が2人に感染させる場合、実効再生産数は2となる。数値が1未満であれば、感染の拡大を抑えられ、数値が小さくなるほど、終息までの期間は短くなる。

(サイエンスライター・上浪春海)

※月刊ジュニアエラ 2020年9月号より

ジュニアエラ 2020年 09 月号 [雑誌]

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