今年はコロナ禍の影響でライブの実験は思うようにできていない。そこで、数多くの「理科実験動画」を撮りため、子どもたちが何度もそれを見返せるように工夫をしているという。
■理科実験は子どもたちの学力を伸ばすのか
しかし、実験ばかりで子どもたちの理科の学力に支障はないのだろうか。保護者からは大学入試に直結した指導を望む声も出てきそうだが……。
「理科の興味や関心は高まりましたね。授業は実験をするだけではありません。生徒たちに『実験ノート』を作らせて、データに基づいた実験過程などを書かせます。これは今後の大学入試が受験生に求めている能力と合致しています。結論を導き出す過程をしっかり考察することで、論理性のみならず知識も自然と身につきますしね」(平山先生)
同校の理科教育プログラムの特色は実験だけではない。系列の東京都市大学の研究者と交流したり、生徒たちが系列の幼稚園(二子幼稚園)に出向き、理科実験教室の手伝いをしたりするユニークな試みもある。さらに、希望者対象のフィールドワークを積極的に開催していて、植物観察やその調査、野川の生物調査、地学巡検、博物館研修など多彩なプログラムも用意されている。
大谷先生は実験や体験を通じて理科の楽しさを堪能することが大切だと語る。
「大学入試対策は高校2年生と3年生の2年で一気にやれば間に合います。わたしはその時期を迎える前に理科ってとても楽しいというのを実感してほしいと考えています。そのような思いを持った子どもたちは積極的に学ぶようになりますから」
真のアクティブ・ラーニングとはこういうことを指すのだとわたしは合点がいった。学ぶこと自体を楽しいと思えるからこそ、自ら物事を知ろうという積極性が生まれるのだ。