歴史的にみると、オンライン教育は大学や社会人の年齢層から始まり、徐々にその下の年齢層へと広がりました。しかし問題となったのが、オンライン教育のハードルの高さです。生徒の学びへの意欲や、自主性、時間管理など、通常の学校であれば、さまざまな形でサポートされることが生徒任せになってしまいがちです。

 実際、10年代に大学や社会人のオンラインコースの修了率が10%にも満たないという報告がなされたことがありました。大人でもできないのに、子どもたちにできるのか。SOHも当初そのような懐疑的な見方と向き合っていかなくてはなりませんでした。

 学校でのリアルな学びであれば、この主体性は生徒や先生との人間関係の中で自然に育まれていきます。「あの子に負けたくない」「先生にほめられたい」といった気持ちは、学ぶ意欲につながります。きれい事ではなく、子どもは実際に学校や地域などのコミュニティーの中で学んでいくのです。

 ですからコロナ禍で慣れ親しんだ学びのコミュニティーと切り離されたお子さんが、うまくオンライン授業を受けられなかったとしても仕方のないことです。それは子どものせいでもないし、もちろん親のせいでもない。まずは「 1 人でオンライン授業を受けることは難しい」という事実を認識することがスタートとなります。

 実は高校生であっても、オンライン教育の場で主体性を維持するためには、さまざまなサポートが必要です。SOHでは、実に 3種類もの生徒サポートを設けています。勉強の相談に乗る「アカデミックアドバイザー」、精神面を支える「カウンセラー」、進路指導の「カレッジカウンセラー」といった 3人の専門家が、 1人の生徒を見る仕組みです。生徒には、勉強そのものと同じくらいこのようなサポートが必要なのです。

 では、家で学習する小学生に、親ができることはなんでしょうか。まずは、何らかの形でこれまで所属していた学びのコミュニティーを維持していく努力が必要です。外出制限などで友人と会えず孤立すると、学びへの意欲やモチベーションが維持されにくくなってしまいます。ですから、電話やコンピューターを使い、直接話したり、メッセージを送り合ったりすることで、積極的に友だちとつながれるような機会を作ってあげることが大切です。そのような友人とのやりとりの中で「あの授業のビデオ、おもしろかったよね」など「学校」の話が始まれば、「あの子もやっているから、自分も!」とオンライン授業に向かい合うきっかけとなるのです。
 

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