日本はロボットの先進国として世界のトップを走り続けている。そして、そのロボットが日本の少子高齢化社会の課題を解決するのに役立ってくれる。小中学生向けニュース月刊誌「ジュニアエラ」11月号は「ロボットと未来」を特集。ロボット研究の第一人者、高西淳夫・早稲田大学理工学術院教授の監修のもと、ロボットで未来はどう変わるのかを考えた。

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 世界でもっとも普及しているロボットは、「ものづくり」の現場で働く産業用ロボットだ。自動車やスマートフォン、家電の部品を作ったり、組み立てて製品にしたりする工場で活躍している。

 日本ロボット工業会の発表によると、日本の工場で働いている産業用ロボットの台数は中国に次ぐ世界2位だが、海外で使われている産業用ロボットの多くは日本製で、2018年に世界で販売された約42万2千台のうち、約24万2千台が日本から出荷。日本の産業用ロボットの生産数は世界一で、その高い技術力は世界から認められている。

 日本が世界一のロボット先進国になれた理由のひとつが、1960~70年代の高度成長期と呼ばれる経済発展だ。不足する労働力を産業用ロボットの導入によって補うことで、日本の企業は高品質の製品を安くつくれるようになり、国際競争力を高めていった。

 日本では、現在、製造業以外でも広くロボットが活躍するための取り組みが行われている。それは日本の少子高齢化の問題とも関係しているんだ。

 現在、ロボットの活躍する場は工場だけでなく、サービスや医療、介護、農業といった私たちの暮らしや生活の中にも広がっている。

 それはロボット開発のための技術が進んだというだけでなく、日本の少子高齢化による働く世代の減少という問題の深刻化が背景にある。2030年には、高齢者が全体の人口の31%、60年には38%になると予測されているうえに、1970年代半ば以降、生まれてくる子どもの数も減っている。

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AERA編集部
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