生活面で自立できているかを重視する私立小学校のうち代表的なのは、早稲田実業学校初等部という。

「散らかしたものを片付ける、衣服をたたんで袋に入れる、こぼした液体を雑巾で拭くなど、学校生活で起こりうることに対処できるかを見られます。こうした能力は、親が先周りしてやってしまうと身につきません。また、日本の伝統文化への理解度も、日常の家庭教育がそのまま出るところ。童謡や昔ばなし、旬の食べ物や季節ごとの花や虫、行事について、親子で学ぶようにしてほしい」と吉岡さんはアドバイスする。

 昨年、暁星小学校で童謡「うみ」が出題されたが、吉岡さんのクラスで「うみ」を歌えた子は半分。「それだけ伝統を重んじる私立小と現代の保護者の意識には、ギャップがあるのです」(吉岡さん)
 
 いずれにしても、学校側が求める子どもは、「その場で自分で考えて、判断できる子」だと野倉さん、吉岡さんともに口をそろえる。

「行動観察で『発言力がある』と思われたいがために親が安易に『必ず意見を言うように』と、子どもに仕込んでしまうと、本番で裏目に出ることもあります」(吉岡さん)

「出題内容が変わっても、その場で柔軟に対処できるレジリエンスが、コロナ禍でさらに問われるようになったといえるでしょう」(野倉さん)

◇吉岡俊樹さん
ジャック幼児教育研究所理事
創立50年の大手幼児教室である同研究所で、40年来の看板講師。iPad専用お受験アプリ「できましたっち!(https://jac-creates.com/)」も開発。

◇野倉学さん
バレクセル代表
慶應義塾大学卒業後、リクルートを経て独立。サイト「お受験じょうほう(http://www.ojuken.jp/)」を運営。私立小学校へデータに基づいたアドバイスも。

(文/澤田聡子)

※「AERA English特別号『英語に強くなる小学校選び2022』」より抜粋、一部加筆

【AERA English特別号】英語に強くなる小学校選び 2022 (AERAムック)

朝日新聞出版

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澤田聡子
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