僕は小学2年生まで内向的で友達をつくるのが苦手でした。そんな僕を心配した母が、体をつかって自分を表現できるようにと、ダンス教室に通わせてくれました。実際に教室に通い始めると、ダンスを通して友達も増えました。

 僕の自己表現の一環として、母がもうひとつ行動を起こしたことは、僕の髪をある日、茶髪にしたことです。母はノリノリの人というか、思い切りがいいというか(笑い)。楽しい方向にもっていってくれる。実際に茶髪にしたことで、茶髪の子とまわりに覚えられて、さらに友達の輪も広がりましたし、茶髪でいることで、自分にも自信がもてるようになりました。

 ジャニーズ事務所に入所したのはダンス教室がきっかけです。小学5年生のときに、ダンス教室の先生や母が教室の中の世界だけではなく、外の世界も学んできてほしいと、ジャニーズJr.のメンバーが出演していたテレビ番組の公開オーディションに応募することになりました。5次審査まで通過し、採用されました。

■勉強と仕事の両立はどっちにもいい影響に

 僕の負けず嫌いは中学生でも顕在で、ジャニーズJr.の活動を言い訳にして勉強をなおざりにしたくはありませんでした。中学1年生の2学期の中間テストで学年1位を取れたときは、本当にうれしかったです。 当時、僕は千葉に住んでいたのですが、東京の稽古場まで電車で1時間ほどかかったので、電車の中では自分でまとめた復習ノートを開いたり、楽屋でも空き時間には勉強していたりしていました。

 また高校のときに思い始めたことなのですが、勉強ってみんなが当たり前のようにやっていることで、それ以外の好きなことって「自分自身を表現するもの」だと。だから両方を大切にして、両立するほうがどっちもいい影響があるなと。

 今「勉強企画なら阿部だよね」と、クイズ番組や「AERA with Kids」さんのような雑誌から声がかかることがすごくうれしいんですよね。両立は大変だった時期もありましたが、「学力」が僕の武器となって、確実に活動の幅が広げられたと思っています。

 小学生のときはいろいろな体験を親がさせてあげてほしいと思います。興味があることから「学び」の幅が広がっていくと思うんです。僕は社会が苦手ですが、旅行はとても好き。だから世界遺産検定を勉強して、そこから社会や歴史の知識を広げました。どこにそういう学びのヒントが転がっているかわからないので、いろいろな経験をしていく中で、発見できるのだと思います。お子さんが小学生のうちは親御さんと一緒に好きなことを探せる時期だと思います。

◎阿部亮平
1993年11月27日生まれ、千葉県出身。小学5年生からジャニーズ事務所に所属し、2009年にSnow Manのメンバーに選ばれる。11年から学業に専念するために一時活動休止、12年に上智大学理工学部に入学後、活動を再開。16年に大学卒業、18年に上智大学大学院理工学研究科修了。大学在学中に気象予報士試験と世界遺産検定2級に合格。20年1月にはSnow Manとして、CDデビュー。現在はSnow Manの活動のほか、テレビのクイズ番組などでも幅広く活躍中。

(AERA with Kids編集部・橋爪玲子)

※「AERA with Kids2021年夏号」より

AERA with Kids (アエラ ウィズ キッズ) 2021年 夏号 [雑誌]

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