今年も首都圏の私立小学校の入試が始まった。近年の志望校選びは多様化し、あえて大学までのエスカレーター式でなく、中学受験に強い小学校を選ぶ親が増えている。志願者数を伸ばしている「受験校」タイプの代表格は、毎年開成や麻布といった「御三家」や、名門大学の付属中に合格者を送り出している洗足学園小学校(川崎市)だ。同小に2人の息子を通わせ、難関中に合格させた母親・川野ゆりこさん(仮名)に小学校生活について聞いた。

MENU ■基礎学力を鍛える日記漢字と筆算検定  ■小学校の友達は一生の財産 ■「受験校」にもさまざまなタイプがある

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 穏やかで気品のある川野さんは、神奈川県育ち。15歳と13歳の息子は現在、最難関私立大学の付属中学に通っている。お子さんたちの小学校選びは、「中学受験が前提」だったという。

「夫が中学受験経験者で『精神的にも学力的にも得るものが大きかった』と考えており、息子たちにもそういう経験をしてほしかったのです。洗足学園小は男女全員が中学受験をすると聞き、見学しました」

 JR南武線の武蔵溝ノ口駅から線路沿いを南に歩いて約10分、系列の音楽大学と同じ敷地内に洗足学園小はある。初めて学校を訪れた川野さんは、「ガリ勉一色」のイメージとは違って、元気いっぱいで楽しそうな子どもたちの姿にひきつけられた。

「勉強も遊びも真剣に取り組む学校という印象を受け、こちらに通えば将来の選択肢が広がるのでは、と感じました」 

■基礎学力を鍛える日記漢字と筆算検定 

 洗足学園小には、低学年から無理なく中学受験のための基礎学力を伸ばす独自カリキュラムがあった。そのひとつが、1年生の3学期から始まる「日記漢字」だ。毎日ノートの右側1ページにその日の出来事を書き、左側1ページに好きな漢字を練習する。

「新聞記事の感想を書いて提出するお子さんもいて、記述力、漢字力が鍛えられました。毎日提出し、その日帰るまでに先生がコメントを書いてくださいます。その内容から、学校でどのように過ごしているのか垣間見ることができました。兄弟合わせて6年間で100冊以上にもなり、大切に保管しています」

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柿崎明子
ライター 柿崎明子
澤田聡子
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