「減少は少し残念なことですが、新タイプ入試は受験生を個別に見るために、どうしても手間がかかります。従来型の4科・2科の受験生が全体に増えるなかで、いっせいにできる教科型のほうがやりやすかったのだと思います」

 コロナ禍で、プレゼンテーションやグループワークなど、アクティブな活動がしにくかったという要因もあるようだ。その一方で、八王子実践(東京都八王子市)は2019年からすべての入試を新タイプ入試に変え、志願者を増やしている。芝浦工業大学附属(東京都江東区)は、国語と算数で行っていたリスニング問題を、今年から理科でも採用した。

 今年はコロナ感染者や濃厚接触者のために追試を設けた学校が急増し、首都圏では40%強にあたる約130校が導入した。御三家では昨年に引き続き、唯一開成が設定。21年は申請者がいなかったが、今年はいたようだ。神奈川県では栄光学園(神奈川県鎌倉市)や慶應義塾普通部(横浜市)などの難関校も設定した。ただし追試を受けたのは各校で1~2人程度で、入試への影響はなかった。

 神奈川県の私立では、県の私立中学高等学校協会が2月21日に共通の追試を実施し、9人が受験した。東京都と神奈川県の公立中高一貫校も追試を設けた。東京都は各学校が面接で合格者を決めたのに対して、神奈川県では市立と県立で合同の試験を行った。

■「冷たい学校」という印象を持たれないように

 安田教育研究所代表の安田理さんは、私立の追試について次のように懸念する。

「多くの学校が追試を設けたことで、追試を行わなかった学校が『冷たい学校』という印象をもたれてしまったかもしれません。当初は予定がなかったのに、学校の印象を悪くしないようにと、急遽追試の実施を決めた学校もありました」

 ここ数年は、共学化し校名を変更する学校が毎年のように続いている。先行した広尾学園(東京都港区)や三田国際学園(東京都世田谷区)、開智日本橋学園(東京都中央区)は大勢の志願者を集める人気校になった。今年は星美学園がサレジアン国際学園(東京都北区)、武蔵野大学附属千代田高校が中学を再開し千代田国際(東京都千代田区)としてスタートした。23年には目黒星美学園(東京都世田谷区)が共学化して、サレジアン国際学園世田谷に校名変更する。26年には日本学園(東京都世田谷区)が明治大学の系列校となり、校名を明治大学付属世田谷と変更、男子校から共学校となる予定だ。

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