公立の学費で一貫教育が受けられると人気の公立中高一貫校。全体的に倍率は下がっているものの、まだまだ狭き門です。志願者数は東京、神奈川、埼玉で減少し、千葉は上昇しました。今年は神奈川県立の2校と、千葉市立稲毛国際が男女別の募集枠を外して統一するという動きがありました。
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今年、東京都と神奈川県の公立中高一貫校では、コロナ感染者や濃厚接触者などを対象に、追試にあたる「特例による検査」を実施した。東京都では2月25日に各校で個人面接を実施。49人が受検して14人が合格した。神奈川県では23日に県立、横浜市立、川崎市立の5校合同で共通問題による検査を行い、15人受検して2人が合格。栄光ゼミナール公立中高一貫校受検責任者の宮田篤史さんは、今回の特例検査について次のように話す。
「神奈川県は県立、市立ともに通常は適性検査をそれぞれ作成しています。それが合同で検査を行うのは、異例のことだと言えます」
1都3県(東京、神奈川、千葉、埼玉)の志願者数は、千葉県を除き減少した。千葉県では千葉市立稲毛高校附属が「千葉市立稲毛国際中等教育学校」と校名を変更し、グローバルなイメージを前面に押し出すことで志願者を集めた。しかし、他都県も「易しくなったわけではない」と宮田さんは言う。
「開設当初は大勢の児童が検査を受けましたが、最近は塾でしっかりと準備した受検生が受けるようになり、全体的に難易度が上がっています」
■高校募集停止により中学の定員が増
東京都では今年、都立両国高校附属(墨田区)と都立大泉高校附属(練馬区)が高校募集を停止し、中学の募集定員を120人から160人に増やした。しかし両国は、昨年の845人から781人に志願者が減少し、倍率も7.0倍から4.9倍と大きく低下した。
「特に女子の志願者が50人以上減少しました。定員が増えることで志願者も増えるのではないかと、敬遠されたのかもしれません。また、東京都の東部地域には人気の私学が集まっており、そちらに流れたとも考えられます」(宮田さん)
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