――特にクローズの見どころは?
まあ、いろいろあって瀕死の状態になるんですよ。そこです(笑い)。なんで瀕死になったかすごく言いたいけど言えない! ま、その命からがらの状態を演じるために、ゼーハー呼吸をするんですけど、すると脳に酸素が送り込まれづらくなって、次のせりふが出てこなくなるんですよ。そこは結構、苦戦しました。クローズは深澤(辰哉)演じる一松とラウール演じるトド松とのシーンが多く、しんどいときには、その二人に「阿部ちゃんイケるよ! 大丈夫!」と励ましてもらって、逆に二人がしんどいときは僕も励まして、だいぶチームプレーで乗り切りました。
――印象に残っているシーンは?
トド松は、基本的にすごく可愛らしいんですけど、腹黒いというか、シリアスに演じるシーンもあるんです。ラウール本人はまじめにやってると思うんですけど、人を罵倒するシーンとかがいい感じにハマってて、ダークなラウールがめちゃくちゃ面白かったです。あと、広いスタジオだったんですけど、なんだかんだ休憩時間もずっと3人で一緒にいるんですよ。そういうのは僕らのいいところだなと改めて思いました。
――お忙しい日々だと思いますが、最近刺激を受けたことは?
宮舘(涼太)と一緒に歌舞伎「プペル」を見にいきました。異質のものを日本史や歌舞伎の世界に落とし込んでいくのは、途方もないエネルギーがいるだろうし、演じる側も解釈を深めないといけない。市川海老蔵さんは何役も演じ分けられていて、それもすごかったですね。あと海老蔵さんと息子さんの勸玄くんの親子共演を今回初めて見て、なんだか親子の絆って素敵だなって思っちゃいました(笑い)。
僕らも「おそ松さん」で目指すところは、原作を知っている方でも納得していただけるような作品にすることであり、予備知識がなくても約2時間、ずっと笑っていられる作品にすること。ゲラゲラ……はご時世的に難しいけど、ぜひ映画館でクスクス笑って楽しんでもらえたらうれしいですね。
(ライター・大道絵里子)
※月刊ジュニアエラ 2022年4月号より