2位には、男子校の桐朋(東京都国立市)が選ばれました。山水育英会を母体として1941年に設立された第一山水中学校が前身で、1948年に現在の校名となりました。「自主的態度を養う」「他人を敬愛する」「勤労を愛好する」の三つを教育目標に掲げ、生徒の自主性を重んじています。中学では黒の詰襟を制服としていますが、高校では制服がありません。生徒会活動が活発で、スポーツ大会や運動会などは教職員の協力のもと、生徒会が中心となって企画運営しています。ほかのさまざまな行事も生徒主体で運営されており、中1・中2の秋には「クラスの日」として、行き先や内容をクラスごとに生徒が話し合って決める宿泊行事が行われています。

 3位に選ばれたのは、1位の麻布と並んで男子御三家の一つとされる、武蔵(東京都練馬区)です。1922年に旧制七年制武蔵高等学校として開校し、学制改革で1948年に新制武蔵高校、翌年に武蔵中学校が発足しました。建学の理念の「三理想」の一つ「自ら調べ自ら考える力ある人物」を基に「世界をつなげる自調自考のエンジン」を教育のミッションとして掲げています。中高ともに制服はなく、服装に関する決まりも特にありません。春の文化祭や秋の体育祭、冬の強歩大会は生徒が中心になって企画運営されています。研究対象として飼育されているやぎの世話もすべて「やぎ班」の生徒たちが担い、休日も含めて毎日、小屋の掃除や餌やりなどを行っています。

自由な校風の中では自分を律する力も必要

 伸び伸びとした教育の学校は、校風の面で面倒見が良い学校と対比されることがあります。それぞれどのような性格の子が向いているのでしょうか。

「一概に言うのは難しいですが、伸び伸びとした校風の学校では、自分で自分を律する力が必要です。強い意志を持ち、積極的に前へ進むことができるタイプの子が向いていると思います。一方、面倒見のいい学校では、さまざまな面で学校が導いてくれますから、人の言うことを素直に受け入れ、努力するタイプの子が向いているかもしれません。ただ、子どもは成長します。その成長に合わせて一貫校の教育も変化していきます。子どもの性格をある程度考慮に入れることは必要ですが、それに固執することなく、最終的に子どもが気に入った学校が、6年間を伸び伸びと過ごせる学校になると思います」(大野さん)

(文/白井裕子)

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白井裕子
白井裕子

編集者兼ライター しらい・ゆうこ/朝日新聞出版勤務を経てフリーに。朝日新聞出版在籍時はおもに教育関連の雑誌やムックの編集を手掛け、担当した媒体に「AERA with Kids」「ジュニアエラ」「カンペキ中学受験」「偏差値だけに頼らない中高一貫校選び」「英語に強くなる小学校選び」「医学部に入る」(いずれも朝日新聞出版)などがある。

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