自分が経験するまでは、「僕たちは少数派だ」と思っていた節がありましたが決してそんなことはなかった。「行きづらい」「人の目が気になる」といったような風潮がまだ日本社会にあるのだとしたら、「風邪をひいたら内科に行く」のと同じように、決して特別なことではなく、もう少し当たり前のアクションとして捉えられるようになればいいな、と思います。
同時に、人の身体や「人体」そのものを学ぶことも大事なことなのだな、とも感じました。一人一人が自分の身体の状況について、知りたい、知っておこうと思うこともすごく大事なことだと思います。
周囲には同年代の“シルバーパパ”も多い
――現在、娘さんは3歳と4歳。登坂さんは、普段はどのような父親ですか?
娘たちには「なんでも思い通りになるパパ」だと思われていると思います。要は、振り回されていますね(笑)。子育てって、基本的に大変なもの。大変さの種類はご家庭それぞれで違うと思いますが、「“大変さ”がない状態はない」と思います。だからこそ、子どもが生まれてからは「スマイルを顔のデフォルトにしよう」とは決めていました。
49歳で長女が生まれたこともあり、「年の功」と言いますか、少し心にゆとりを持って娘たちを見守ることができるのは、年齢を重ねてから子どもを授かることの良さの一つと言えるかもしれません。周囲には同年代の“シルバーパパ”も結構いるので、「若いパパたちのなかで孤独を感じている」という感覚もないですね。
――父親になり、「自分は変わったな」と思うことはありますか?
そういえば、娘たちが生まれてからは自分の服はほとんど買っていないですね。動きやすければなんでもよく、クローゼットにあるものを順番に着ていく。そんな感覚です。
昔は、そのときに自分が食べたいものを自分の分だけ作るような生活をしていました。ですがいまは、妻や娘たちが喜んでくれるものをまとめて作ることが多くなり、つい先日もストック用にミートソースをたくさん作ったところです。優先順位が完全に変わり、自分のことが後回しになっている。でも、それが決して苦ではないんですね。それこそが子どもが生まれてからの自分のなかでの大きな変化かな、とつくづく感じる日々です。
(構成/古谷ゆう子)