まだ下の子は楽しんでくれているのですが、中2の娘はもう乗ってくれません(笑)。結局私が一番、楽しんでいるのかもしれないですね。

2021年(小林由美子さんオフィシャルブログより)
2025年(小林由美子さんオフィシャルブログより)

自分に完璧な母親像を押し付けていた

――子育てを楽しんでいるんですね。

 楽しめるようになったのはだいぶ経ってからのことでした。娘を出産してしばらくは、やたら神経質になっていたと思います。

 というのも、長女はようやく授かったと子いうこともあり、ちゃんと育ってくれるか、とにかく心配ばかりがたってしまい……。そのころはひたすら育児書を読んで知識を詰め込んでしまっていました。もちろん役に立つ知識もたくさんありましたが、取捨選択できず、めちゃめちゃ頭でっかちになっていたんです。

 娘は出産予定日より3週間早く生まれたので、その分体が小さくても当たり前なのに、「生まれてきた時の体重が育児書の平均よりだいぶ小さい……!」に始まり、「ミルクを飲む量が月齢の割に少ない!」といったふうに、一事が万事心配しまくっていました。

――そんな時期もあったんですね。

 離乳食はもちろん手作り、子どもには好き嫌いのないようにいろいろなものを食べさせなきゃ、子どもは怒っちゃいけない、万が一叱るときは目線を合わせないといけない……など、自分を縛り付けていたんです。

――変わったきっかけは何だったのでしょうか?

 色々なきっかけがあったのですが、その一つにしんのすけの母、みさえさんの存在があります。「クレヨンしんちゃん」には、親としても「本当にそれそれ!」って共感するシーンが多くて。

 みさえさんは、とにかく自分に素直な人だと思いました。しんのすけやひろしに対して全力で感情を爆発させるし、げんこつグリグリもするし、大きい声で怒鳴ることもある。確かに母親だって1人の人間だし、感情的に怒るときもあるよね、ってハッとしました。でも誰よりもしんのすけを一人の人間として尊重していると思います。怒りすぎたと思ったら、反省してしんのすけに素直に謝っていますし、「さっきはごめんね」ってしょっちゅう言っていますから。

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