――当初は育休取得予定期間ではなく、取得者の性別で分けていたとか。

 じつは、そうなんです。最初の案では、例えば13人以下のチームの場合、育休取得者が女性の場合は10万円、男性の場合は3万円と、性別で金額を分けていました。ですが、制度の創設を発表したところ、ネットニュースへのコメントで「すごくいい制度なのに、なぜ男女で分けるのか。“育休は女性が取るもの”というジェンダーギャップを助長してしまうのでは」という指摘が寄せられたんです。たしかにそのとおりだと思い、翌日には性別による区分は取りやめ、期間で区切ることにしました。

 当社では、2021年から、男性社員に対して育休1か月取得を推進しています。男性も3か月以上育休を取ってほしい、という思いを込めて、3か月を区切りとしました。ちなみに2023年度の男性育休の取得率は100%、平均取得日数は37日でした。

実施から1年半で、延べ1万4000人以上が受給

――これまで、どのくらいの方に「応援手当」を支給されたのでしょうか。

 2023年3月の制度開始から2024年10月末までの約1年半で、全国1200のチームや課のうち、半数にあたる599の職場、延べ14,289人に支給しました。同じ職場で複数人が育児休業を取得した場合も、複数人分の手当を給付します。

 また、2つの職場を兼務する社員や手当の給付間際で異動した社員には、上司の判断で、支給対象者を柔軟に調整できるようにしています。支払いは育休に入った翌々月に、給与に上乗せするかたちでおこなっています。

――社内の反響はいかがですか。

 ポジティブな声が多いですね。出産・育児は本来喜ばしいことなのに、「休んでしまってはチームへの負担が増えてしまって申し訳ない」と育休取得者が罪悪感を覚えてしまうこともあります。欠員に対する代替要員の補充に加え、この手当を支給することで、育休を取得する本人からも「安心して休むことができる」と好評です。

 手当のネーミングは、「職場全体で育児を応援する風土を根付かせたい」という意味を込めて、あえて「祝い金」としています。この制度により、チームメンバーの間でも「育休取得者の復職後もみんなで支えていこう」という前向きな意識がより醸成されていると感じています。

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