あと「勉強として頑張らせない」のも大事。英語を教えようとして「This is a desk」みたいに学ばせようとすることが多いと思うんです。「まず単語から語りかけたほうがいいですか?」と聞かれたときも「なんでそんなことを思うんやろ」と感じたりして。でも普通に言いたいことをなるべく英語で言う、ということなんです。なるべくと言っても全然言えないんですけど、自分が言えることは言うと。小学校3、4年のころ、息子に「お母さん、もっと英語ができると思ってた」って言われましたね(笑)。
キリ:そんなこと言ったんだ。全然覚えてない。
タエ:そう。それで「すごいやろ、できへんのやで」って答えて(笑)。
キリ:とにかく自分は無意識に言葉を使っていて、英語について何か勉強させられていると感じたことは一切なかったです。言葉に好きも嫌いもないし、そもそも言葉って意識の下にあるような感じじゃないですか。日本語と英語、どっちで話していたかを考えることが少し不思議なくらい。
――絵本を読めるようになってからは好きな本を少しずつ広げながら多読もしていたキリさん。タエさんは通販サイトや中古書店で購入していました。
タエ:赤い大きな犬の「クリフォード」の絵本やアニメは好きでよく見てたよね。私は本の語数を数えて「今月は10万語超えた!」って喜んでたんです。簡単な本から少しずつ読む力を実感してね。小学生時代は『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』(静山社)をよく読んでたね。
キリ:それは覚えてる。『パーシー・ジャクソン』はギリシャ神話がからんだ話なんですけど、神様のとらえ方が日本神話とちょっと似ているところがあって好きだったな。
タエ:よかった、覚えてることがあって(笑)。本人が気に入ったら同じ作者の本を買って、を繰り返しながら英語の本を読んでいましたね。
英語はあくまで道具
――英語以外に算数にも力を入れたというタエさん。「算数ができれば将来の勉強で困ることはない」という思いで続けた学びは、算数や数学の先取り学習、中学生で物理の世界への興味につながっていきます。英語という土台を持ちながら好きな分野を英語で学ぶ面白さを実感しながら、高校では世界各国の高校生らが物理学の知識を競う「国際物理オリンピック」にも出場しました。
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