キリ:うん、たぶん何語でしゃべっていたかはまったく意識していなかったと思う。英語をしゃべろうとして話していたのではなくて、何かの拍子に勝手に切り替わる感じで不意に出ていたんじゃないかな。

タエ:英語をいかに生活になじませるか、は、いろいろやりましたね。まず日本語がいちばん大事だから日本語でたくさん語りかけて、日本語を獲得したな、と思ってから2歳10カ月で英語を始めて。当時はまだ「日本語と同じくらい英語の量を与えることが大事」という観点の情報は少なくて。CDのかけ流しをしたり英語の絵本を読んだり、自分は英語ができないのに生活に必要なフレーズを覚えて言ったりして。多くの人は「それだけ?」と思うかもしれませんが、「日本語と同じ量をインプットする環境を英語でも作る」と考えると、けっこうな英語量です。日常的に英語で語りかけながら、親子で英語の絵本を読んだり絵日記を書いたり、毎日の生活に「当たり前」にあるように工夫していました。

お母さんはもっと英語ができると思ってた

――5歳で英検を受け始めると、幼稚園卒園前に準2級を、小6で1級を取得したキリさん。幼児期には「朝・昼・晩」に英語のCDのかけ流しをし、1日2分のフラッシュカード、夕方に英語のアニメタイム、夜に英語の絵本の読み聞かせをすることで、なるべくネイティブの子どもと同じ英語環境で暮らしながら少しずつ資格試験の実績を作っていったといいます。

タエ:幼少期はいろいろ取り組んでいました。現在、英語関係の仕事をしていていろんな親御さんを見ていて思うのは、自分の英語の「語りかけのしかたがよかったのかもしれない」というのがあります。私は「英語ができないこと」にあまりにも躊躇(ちゅうちょ)がないというか、少しくらい間違った英語でもめっちゃ自信満々で語りかけていたんです。これがなかなか難しい。正しい英語を使わなければとしり込みしてしまう方が多い気がします。「Brush your teeth(歯磨きしてね)」「Wash your hands(手を洗って)」など簡単な英語でいいから自分にできることを、さもアメリカ人の親が子どもに言うように話しかけていましたね。

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