おすすめポイント
クーちゃんはおしゃれが好きで、何でもしっかり準備をしていたいタイプ。一方のぎんがみちゃんは音楽が好きで、何事にも臨機応変に対応するタイプ。好きなものは同じじゃないし、性格や考え方もどちらかというと正反対なふたりがお互いの違いを認めて受け入れながら仲良くやっている様が、とても微笑ましい幼年童話です。
北川佳奈さんの詩的な言葉のセンスにもワクワクします。例えば、春のできごと。約束をするまでもなく、春のあたたかい風が気持ちよくてお互いに贈り物をしたいと思うふたりがそれぞれ贈ろうとしたものが、「冬のわすれものみたいな花」「真昼の月」と、とびきり素敵なんです。チョコレートウエハースの女の子が春らしくサクサクと軽やかな足どりで歩いているなんて描写も、メルヘンチックでときめきます。
そして、そんな素敵な世界観をさらに素敵にしてくれるのが、くらはしれいさんによる可愛らしい挿絵です。板チョコや銀紙をイメージした独創的なデザインの洋服、ふたりの好みがなんとなく見えてくる持ち物やお部屋のインテリアなど、クーちゃんとぎんがみちゃんのキャラクターをより立体的に見せてくれます。
ケンカをしたかと思えばお互いに相手のことを考えていたり、自分にはないものを持っている相手をすごいなと尊敬したり。相手の思いもよらない考えや行動にびっくりしつつも、自分の世界を広げてくれるような友だちがいることの楽しさや豊かさを教えてくれます。
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