――具体的な勉強のコツはありますか?

脩斗さん まず漢検1級のテキストにあたります。でも、一つひとつの文字を覚えようとしても意味がありません。単語として覚えたり、文学作品の中から漢字の用例を探して、言葉の意味とともに覚えたりするほうが頭に残りやすいです。

 たとえば故人や神仏を供養する「御影供(みえいく)」という言葉があります。この3字はどれも常用漢字で、一つひとつの文字はそれほど難しくありませんよね。でも一字一字覚えてもあまり意味はなく、熟語として覚えたほうが身につきます。

――なるほど! ほかにはどんなことを?

脩斗さん あとは漢和辞典を読むこと。同じ単語でも「この辞書には載っているけど、こちらの辞書には載ってない」というふうに比較しながら読むと、言葉の面白さに触れることもできます。国語辞典、漢和辞典、難読漢字辞典など、合計50~60冊の辞書を使っています。

――50~60冊!? 中国古典からの出題も多いようですが中国語もできるのですか。

脩斗さん いいえ。試験に出る言葉は、昔の漢文が主で、現代の中国語とは乖離(かいり)しています。中国語にも興味はあるのですが、それよりも古典文学や歴史に出てくる漢文をもっと学びたいです。

お父さん 小さいころから「辞書が欲しい」と言えば、買ってあげていました。親はそれ以上のことはしていません。全部自分で調べて勉強していましたね。

――1級は合格率が8%未満と超難関です。ほかに工夫したことは。

脩斗さん ネット上に1級に挑戦する人たちのブログやサイトがあるので、その人たちが発信する対策法を参考にしました。たとえば、スマホの単語帳アプリに知らない漢字や苦手な単語を入力して、すきま時間に見るようにしました。SNSのコミュニティーでやりとりしていた人と特別賞の表彰式で会ったのですが、直接お話ができてうれしかったです。漢字を通して、いろいろな人とコミュニケーションをとれるのが楽しいです。

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