本をよく読んでいる子どもは、いろいろな言葉や漢字を知っています。でも、国語のテストを受けるときに、問題を解くスピードが遅くてなかなか得点が上がらないこともあります。それなら、問題を読むスピードを意識すれば改善できそうですよね。

 さらに、一度読んだ文章をどれだけ記憶できるか。文章を読む際には、今読んでいる部分よりも前の部分を頭の中に残しておく力も必要です。この力が弱いと、問題を読んでもその部分の記憶があいまいなので解けません。そこでまた読み返さなくてはならず、その分時間がかかってしまうのです。

 この点は、たくさん本を読むことで改善できるでしょう。読書を通して、全体の文脈を踏まえながらシーンを理解していく練習をすることで、文章の内容を頭に残す力は間違いなくつきますよ!

 テストで間違えた「答え」にも注目してみましょう。問題で問われていることをちゃんと説明して、「あっ、じゃあ答えはこうだね」と正しい答えがわかるようなら、問題文の読み間違えや勘違いが原因に考えられます。これには、もう少していねいに読むようにアドバイスができるでしょう。

読書を活用して、国語力をアップさせる楽しい方法

――ほかに、読書から国語力を鍛える方法はありますか?

 ヨンデミーでは、本を読んだあとの「親子の会話」をよくおすすめしています。

 これは、ちゃんと読めているかどうかのチェックではなく、そこから想像を膨らませたり、同じ感想を共有してうれしい気持ちになったり、「ああ、ほかの人が読むとこんなふうに感じるんだ」と別の見方を発見したり。友達と映画を観終わったあと、お茶をしながら見た映画について話をしますよね。あのイメージです。

 こうすると、ただ読んで「おもしろかった」で終わるのではなく、会話をもとに「考える」訓練ができるのです。考えて、答える。しかも、おしゃべりだから楽しいんですね。

 読書から鍛えられる力は、国語だけでなくどの教科にも生かせます。その点、読書のあとの「親子の会話」は本当に効果的。ぜひ、実践してみてください。

(取材・文/三宅智佳)

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笹沼颯太
笹沼颯太

Yondemy(ヨンデミー)代表取締役。筑波大学附属駒場中学・高校時代に英語の多読塾で指導を受ける。東京大学経済学部経営学科に進み、3年生で中高時代のスキルを活かして友人3人と読書教育サービス「ヨンデミー」を設立。起業や会社の経営、営業、運営のすべてを「本から学びました」と語る。著書に『東大発!1万人の子どもが変わった ハマるおうち読書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。

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