中学受験のプロ家庭教師・安浪京子先生は、中学受験に合格するためには「偏差値」よりも「過去問との相性」がポイントだと説きます。その理由とは? 安浪先生の著書『中学受験 大逆転の志望校選びと過去問対策 令和最新版』(ダイヤモンド社)から、子どものタイプと過去問についてご紹介します。
【マンガ】中学受験で「偏差値の高い学校」への思いを捨てきれなかった母が、「路線変更」を決断して“わかった”こと(全38枚)合格できるかどうか、は偏差値だけでは分からない
わが子の「学力」を元に、実際に学園祭や学校説明会に足を運んで理想の学校が見つかったとしても、合格できるかどうかはまた別物です。逆に、理想的な学校であればあるほど、ご縁をいただけなかった時のショックが大きくなります。
何が何でもこの学校に――というのは、強いモチベーションにはなりますが、自らを追い詰める方向にも作用しますので、「通わせてもよいと思える学校」を数多く持っておくことをおすすめします。
「子どもと過去問との相性」の方が偏差値より大事
さて、合格可能性判定で80%以上を取っていても不合格になる、あるいは偏差値的には全く届いていなかったのに逆転合格した、というケースは共に多々ありますが、その原因は何だかわかりますか?
前者に関しては、体調や精神状態など、思いつくことがそれなりにあると思います。しかし、後者は?
突然、神が降りてくるほど、受験は甘くありません。
塾では、模試の偏差値や判定を元にした受験校のアドバイスはしてくれますが、それ以上に外せないのが「子どもと過去問との相性」なのです。
ゆっくりじっくり問題を解くA君では、短時間に大量の問題をこなす処理型の入試問題を時間内に終わらせることができません。記述に強いBちゃんが、入試問題に一切記述のない学校に挑んでも、他の子に点差をつけることができません。
合否判定は、あくまで「塾の模試での点数」です。じっくり型のA君の偏差値が70だったとしても、偏差値66で処理型入試問題の「筑波大附属(東京都)」の合格は相当厳しくなります。記述に強いBちゃんが偏差値51の「共立女子(東京都)」の国語が惨憺たる点数でも、偏差値62の「鷗友学園(東京都)」の国語は合格者平均を上回る、ということがあるのです。
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