中学受験の学校選びにおいて、最近は高校と大学が連携して教育を行う「高大連携」がキーワードの一つになっています。子どもの中学受験を考える保護者からもらった高大連携に関する疑問を中学受験の大手塾である日能研の入試情報室室長、井上修さんに答えてもらいました。「偏差値だけに頼らない 中高一貫校選び2025」(朝日新聞出版)から紹介します。

MENU Q1やはり高大連携がある学校を選んだほうがいいのでしょうか? Q2高大連携でも推薦枠がないのはなぜですか? Q3どんな大学が高大連携をしているのですか? Q4子どもにとってのメリットはほかにありますか? Q5 親が気をつけなければいけないことは?

Q1やはり高大連携がある学校を選んだほうがいいのでしょうか?

A 残念ながら一概にそうとも言い切れません。大学と連携協定を結んでいなくても、積極的に大学をはじめとする外部と関わりを持っている学校もあれば、連携協定を締結していても実質何もしていない残念な事例もあります。高大連携は、中高一貫校側と大学側がお互いに意見を出し合い、すり合わせていってこそ充実したプログラムができます。

 何より「生徒たちにこんな経験をさせたい」という先生の熱意が大切です。保護者としては、単に連携協定の有無を見るのではなく、学校説明会などに足を運び、担当の先生の話を聞いたり、プログラムの内容を確認したりするほうがいいでしょう。また、プログラムの内容もいきなりいいものができるわけではなく、先生たちが試行錯誤をしながら一定の段階を経て深まっていくことも忘れないでください。

Q2高大連携でも推薦枠がないのはなぜですか?

A 中学受験生の保護者がいちばん勘違いしやすいところですが、高大連携をしているからといって推薦入学の「枠」が必ずしもあるとは限りません。大事なことは中高生が連携先の大学の学びに触れることです。そこで興味を持てば、一般選抜や総合型選抜で頑張って入学すればいいのです。「それでは高大連携の意味はないのでは?」と思う保護者もいるかもしれませんが、それは違います。事前にその大学に触れているわけですから、面接や小論文、プレゼンテーションの際には有利になるでしょう。

 また、入学後に「思っていた大学と違った」というミスマッチを防ぐこともできます。逆に言うと、今までの指定校推薦のように「評定平均点が足りていたから」という理由だけで推薦され、合格して入学してしまうと「思っていた学びではなかった」という状態になる可能性もあるので注意が必要です。

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江口祐子
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