映画やドラマで女優として活躍する釈由美子さんは、小学2年生の男の子のママでもあります。プリスクールに通いながら英語絵本の多読などで英語が大好きになったという長男は昨年、7歳で英検準2級に自主的に挑戦し、見事合格しました。子どものやる気を引き出す釈さん流子育て術について聞きました。「AERA English特別号 英語に強くなる小学校選び 2025」(朝日新聞出版)からご紹介します。

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英語って勉強しちゃいけないものなんだ!

 私はなぜ英語が苦手なのだろう―釈由美子さんはずっと考えてきた。中学、高校で英語を学び、中2のときには自治体の交換留学生としてアメリカでホームステイした。「高校では留学したい!」と夢が膨らんだが、実現しなかった。20代のとき「英語でしゃべらナイト」(NHK)のレギュラーになり英語を学び直した。しかし、どうしても打ち破れない壁を感じた。

「英語なんて通じればいいんだよ、っていう考えもあると思うんですが、ビジネスでは通用しません。私も海外での撮影のとき、現地のキャストやスタッフとのコミュニケーションに苦労しました」

 日本の英語教育では、「聞く・話す・読む・書く」の4技能を学ぶが、それだけではダメなのだと思い知った。

「間合いというか、会話の楽しみ方、自然に打ち解けられる空気みたいなものは、4技能では学べないんですよね」

 釈さんは思った。英語が「勉強」になった時点で身につかない「何か」があると。

「母語と同じように『英語って、気づいたら自然に話せたんだよ』と子どもが思えることこそが、親にしか与えられないギフトなんです」

 38歳で息子を授かったとき、そのギフトを与えたいと心に決めた。だが、釈さんは自分に言い聞かせた。ちょっと待て、自分、と。

「現代を生きる子どもにとって、英語はマストアイテムです。でも私の子育ての最終目的は、英語が得意な子を育てることじゃない。自分で考えて、自ら行動できる子にすること。だから、私が突っ走ってお膳立てしてルートを決めてしまうことが、実は一番恐ろしいんです(笑)。とはいえ教育オタクなので、いろいろ調べちゃうんですけどね」

 親の知識は環境を整えることに役立て、その先は子どもが選ぶ。それが釈さん夫婦の子育て方針となった。

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神素子
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