うんちく3 メダル中央の「六角形」はどんな意味?

 パリ五輪・パラリンピックのメダルの中央には、六角形のプレートが配されています。この六角形はフランスを表します。国土が六角形(ヘキサゴン)に近いからで、フランスではニュースで「今日のヘキサゴンのお天気は……」と言うほど日常的に使われている通称です。

 この六角形のプレートは、「パリの貴婦人」とも呼ばれるエッフェル塔を改修したときに回収された鉄を利用したものです。エッフェル塔はフランス革命100周年を記念して1889年に建設された建造物なので、ここにも “フランス革命の精神”が込められています。

 リサイクル素材でつくられた鉄のプレートには、古いものに価値を置き、大事に使い続けるフランス人の精神文化が映し出されています。フランスでは古道具を売る「蚤の市」がさかんです。新しいものや便利なものより、一つしかないものを大事にするのがかっこいいという価値観が根付いています。そういう意味でエッフェル塔の鉄でできたプレートは最高の贈り物なのです。

うんちく4 メダルは皇帝ナポレオン1世ゆかりのジュエリーブランドが制作

 パリ五輪・パラリンピックのメダルは、ヨーロッパの王室にティアラを納めることで知られる高級宝飾店「ショーメ」がデザインしたものです。素材の輝きを際立たせる線の入れ方や鉄のプレートの留め具などに、高い技術力が生かされています。

 このショーメの最初の有力な顧客は皇帝ナポレオン1世と皇后ジョセフィーヌ。ショーメの前身に当たる店の職人が、ナポレオンの戴冠式のときジョセフィーヌが着けていたティアラを制作したといわれています。

 また、パラリンピックのメダルの裏には点字で「パリ2024」と記されているのですが、この点字を考案したのもフランス人のルイ・ブライユ(1809年生まれ、52年没)。フランスの歴史や文化に裏打ちされた「誇り」がメダルに盛り込まれています。

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