テレビや新聞よりも、インターネットから情報を得ることが圧倒的に多い今の子どもたち。 情報発信のプロである新聞社は、どのようにニュースを見つけ、ファクトチェックして記事にしていくのでしょう? 朝日新聞の記者・滝沢貴大さんと、記者が書いた原稿をチェックしたりする「デスク」の宮嶋加菜子さんにお話を聞きました。小中学生向けの月刊ニュース誌「ジュニアエラ5月号」(朝日新聞出版)からお届けします。
【写真】ミスや無駄を減らす!新聞記者のノート&メモ術はこちら記事のネタは「歩いて見つける」が基本
――ニュースになりそうなネタはどのように見つけるのですか? たとえば都心でひょうが降ったときの動画や、能登半島地震で、がれきの下から温泉がわき出る様子を見て銭湯の経営者が希望を見いだす記事など。
滝沢さん ひょうの記事は準備していたわけではなく、仕事帰りにラーメンでも食べようと外に出たらひょうが降ってきたので東京では珍しいと思い、デスクに相談して記事にしました。記者をやっていると、どんなときでもニュースを探すくせが身につきますね。被災地の記事は、石川県珠洲市内を歩いていたら、たまたまがれきの中で必死にホースをつないでいる男性がいて、「どうされたんですか?」と声をかけたのがきっかけです。「歩いて見つける」が基本です。
複数の証言を聞き、チームで検証する
――事件取材などでは、どのようにファクトチェックしていくのですか?
滝沢さん 和歌山県で岸田文雄首相に向けて爆発物が投げ込まれた事件では、前任地が和歌山だったため、私も1週間、取材チームに参加しました。容疑者はすぐ特定できたのですが、事件の前後の動きはまったくわかっていませんでした。そこで手分けして、容疑者を取り押さえた漁師さんや会場にいた人を探して話を聞いたり、町のあちこちに据え付けられた監視カメラの映像を持ち主にお願いして見せてもらったりしました。1人の証言だけでは間違える可能性があるので複数の証言を聞き、「確からしいこと」を固め、さらに矛盾がないようにチームでチェックした成果が記事をつくりました。現場に行って 直接、当事者から話を聞いたり、事件現場の様子を自分の目で見たりすることはとても大事です。