何かと「理不尽」を感じることの多いPTA活動。ジェンダーバランスや非会員家庭の子どもへの差別など、どのような点が問題なのでしょうか。ノンフィクションライターでPTA問題に詳しい​​大塚玲子さんの著書『さよなら、理不尽PTA! ~強制をやめる!PTA改革の手引き』(辰巳出版)から、実際に大塚さんのもとに寄せられたアンケートの声とともにご紹介します。

MENU 会長は父親、活動は「母親の義務」 それは脅しでは……「非会員家庭の子ども差別」

会長は父親、活動は「母親の義務」

――「会長は男性。副会長の父親は何もしなくてよい」と引継ぎがある。(ふーたさん)

――運動会の〝お母さん〟による来賓への「お茶汲み」は時代錯誤だからやめようと提案。もちつき大会で「お父さんの手洗い、指先チェックは、お母さんが行ってください」という項目を「男女差別なので削除してほしい」と提案した。(うめさん)

――ママ友にPTAの愚痴を話していたら、友人の夫が横で「おやじの会は飲んでるだけだから楽しいよ!」と言い、殴りそうになった……。(暴力反対さん)

 ジェンダーバランスが異様に偏っていることも、PTAの最大の問題点のひとつです。まず大半の地域では、会長は男性ばかり。公立小中学校のPTAの女性会長の割合は、たった14・8%です(内閣府調べ 2020年12月時点)。

 対照的に、会長以外は母親ばかりです。活動への参加は、なぜか「母親の義務」と思われており、父親はほぼ想定されていません(稀に、シングルファザーが「母親」カウントされるケースも見かけますが)。単発で参加できる「係」の活動は多少、父親も増えているものの、継続的な参加を求められる「委員会」活動は、今も母親がほとんどです。

 ただし、単純に「父親のせい」ともいえません。PTAはあまりにも母親が多く、平日の日中の集まりに参加する父親は「ぼっち」になりがちです。そこで、父親たちが参加しやすいよう「おやじの会」をつくった、という話もよく聞くのですが、これによって「PTA=母親」「おやじの会=父親」という棲み分けが固定化してしまった面もあります。

 ときどき「母親代表(ははだい)」や「母親委員」といったポストを設けているPTAもありますが、これも「おやじの会」と同様の問題があります。「会長は父親(男性)」という前提のもと、ある種「女性活躍」のために設けられた役職でしょうが、むしろ「会長は父親」という縛りを強化することにもつながってしまっています。

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