――私立と公立の学費の比較は、一概にはできないということですね。

 はい。ただ、一つ、念頭に置いておかないといけないことは、公立中学から私立高校に進む場合、「私立だからお金を払うもの」という暗黙のコンセンサスを感じることがあるかもしれません。

 例えばお子さんが何か体育会系の部活をしている場合、公立中学では遠征費もいくらまでなら払えるかを調査してから請求されていたのに、私立高校に行ったら、必要金額を強制的に徴収されることがあります。野球部だったとして、甲子園に出られるような強豪校だったら後援会が援助することもあるかもしれませんが、普通は親が出します。体育会系でなくても、ブラスバンド部なども遠征費、修繕費などが高くなります。

――では、高校や大学に入るまでに、どれぐらい貯蓄があったほうが良いものでしょうか。

 今は助成金が手厚いので、高校入学のための貯蓄は、そこまで必要ないでしょう。私立大学の場合は、一般的に文系は4年間で500万円、理系の場合は6年間で1000万円くらいかかるとアドバイスしています。理系は文系よりも学費が高く、また、修士課程を含めて6年間通うことを想定したカリキュラムになっていることも多く、その分、多く必要になります。国立大学の場合は、文系と理系で基本的に学費は変わりませんが、かかる学費は300万円ほどなので、貯蓄がなくても、大学に行かせながら半分ぐらいの学費は家計から出すことも可能だと思います。

 高校の場合、これは公立校に行っても私立校に行っても同じですが、学校の授業料以外のところでもお金がかかってきます。まわりがiPhoneを持っているから私も欲しい、洋服や靴にもこだわりが出てきます。そういう意味では、中学までに節約して貯蓄しておくべきでしょう。

(構成/永野原梨香)

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永野原梨香
永野原梨香

ながのはら・りか/『週刊エコノミスト』、『AERA』『週刊朝日』などに勤務し、現在、フリーライター。識者インタビューのほか、マネーや子育てをテーマに執筆中。

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