『子どもだからすぐによくなる』『怠け心が出ているのでは』と思うのではなく、いったん子どもの不調や気持ちに寄り添って、じっくり話を聞こうという姿勢が大切です」(安川さん) 疲れや緊張は心の不調だけでなく注意力も下げます。

「学校ではストレスで集中力が鈍ると転んだりぶつかったりするけがも増えます。自分の体調を上手に表現できない低学年はうまく言えないことも多いので、『気持ち』や『体はどのような感じがするのか』など、子どもの言動にじっくり耳を傾けてほしいと思います」(吉川さん)

「子どもの様子がいつもと違う」「なんとなく体調が悪そう」。そう感じたら、下の「子どもの観察ポイント」の項目をチェックしてみましょう。

【これってストレスサイン? 子どもの観察ポイント】

□ぐっすり眠れていない様子
□睡眠時間が不規則
□朝ボーッとしている
□いつもより口数が少ない
□すぐ疲れを訴える
□食欲がない
□お通じが不規則
□朝起きられない
□支度をしたがらない
□学校の行き渋りがある
□腹痛や頭痛を訴える
□肩や首が凝っている
□笑顔が少なくなった
□自分のことを話さない
□ときおりわけもなく泣く

これってストレスサイン? 子どもの観察ポイント
これってストレスサイン? 子どもの観察ポイント

体、考え方、行動の 三つでストレスを緩和

 ストレスに心や体が反応して変化を見せるのは、ごく当たり前の反応で悪いことではありません。ただし、ストレスにうまく対処する方法を知っておくことで、心や体が疲れ切ってしまう前に回復させることができます。

 そのために有効な対処法は三つ。「体をゆるめる」「考え方を変える」「行動を変える」です。

「なかでも体への働きかけは、子どもたちも変化を実感しやすいので、最初に取り組んでみるといいですね。親子で一緒にやってリラックスするのもおすすめです」(吉川さん)

 親が子どものありのままの状態を受け止めて、その言葉に耳を傾けることも大切です。

「子どもに『がんばれ』『大丈夫』と励ますより、『しんどいよね』とその気持ちに寄り添ってあげてください。何かひとつうまくいかなくても、それで子どものすべてがダメなわけではありません。子どものつらさを理解してあげることこそが、子どもにとっては一番うれしいことで、安心することができます」(安川さん)

ストレスを軽くする3つのポイント

(取材・文/工藤千秋)

安川禎亮さん
吉川和代さん
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朝日新聞出版

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