芸人でも、いわゆる「嫌な人」って、面白いエピソードにしやすいんだ。「この前、腹立ったやつがいたんですよ」って。一歩引いて面白がれたら嫌という気持ちも少し緩和するんじゃないかな。ただ、「そんな芸人さんみたいにはいかないよ……」って思ったら、もう我関せずの態度で、授業が止まってしまったら、その間は漢字を覚える時間とかにしてもいいかもね。
もちろん、我慢せずに自分の気持ちを伝えるのもいいと思うよ。ただ、繰り返しになっちゃうけど相手を変えるのはすごく難しいから、嫌という気持ちをストレートにぶつけるのは効果的じゃないんじゃないかな、って思う。
気持ちを伝えるときによしおが大切だと思うのが、「感情のコーティング」。例えば「うるさくするのをやめて」っていうボールを相手に投げるとして、怒りの感情で包むのか、優しさや面白さで包むのかで、相手の受け取り方が変わると思うんだ。
相手に最初に伝わるのは感情のほうだと思うから、怒りというトゲトゲした気持ちで包んでしまうと、言われた相手は「痛いなー」ってことばかり意識してしまうかもしれない。だから、何かを伝えたいときは、痛くないもので包めたらいいよね。そうしたら、相手もその気持ちを受け取りやすくなるのかも!
■心のバランス力を鍛えよう
嫌だと思うことって、これから生きていく上でも、たくさん出会うと思う。嫌って思うことは悪いことじゃないし、心ではどんなことを感じてもいい。だけど、そう思ったときに心を立て直す力をつけておくことが大事なんじゃないかな。要は、心のバランスをどう保っていくのか、っていう話。
バランス力って、バランスを崩さないように慎重になることじゃなくて、傾いてしまったときに立て直す力のことなんだ。平均台を歩いていて、右に傾いてしまったときに、左に戻ってくる力がバランス力。心もきっと同じで、「うるさくしないで」「嫌なことを言わないで」って自分のバランスを崩すものを取り除こうとするのは、至難の業。それに、自分が嫌だと思うものを取り除いてしまうと、どんどん孤独に向かっていく気がするんだ。人が周りからいなくなっちゃうからね。
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