実践!英語を自然に習得するための10のヒント

では、実際にどのように日々の学習に取り組めばいいのか? 英語習得にまつわる10の疑問・悩みを酒井さんに聞いた。脳科学的に解決しながらヒントを探ってみた。

1英語を始めるなら1歳でも若い方がいいですよね?

 年齢は関係ありません。楽器も若いうちに始めれば練習時間が増える点では有利ですが、大人でも習得できますよね? 子どもの時の習得は、脳のハードウェアが発達している段階で、ソフトウェアを組み込むようなもの。日本語での思考力が、英語での理解不足をカバーすることもあります。いかに自然に習得できる環境にあるかが大切です。

2受験対策で英単語をたくさん覚えたのに話せません 

 受験英語は「聞く・話す」と「読む・書く」をつなぐ「文の生成力」の部分をケアしていないので、そのような歪みが生まれます。4技能は相関しており、いくら単語だけを覚えても、文単位で聞き取り、文の生成ができないと発話にはつながりません。まず「文全体で何を言おうとしているか」を想像すること。単語の意味は後付けで充分です。

3ネットや教材で「英語脳」がもてはやされています

「英語を英語のまま理解する」などと業者がうたう、いわゆる「英語脳」は存在しません。人間の脳は普遍文法を使って多言語を獲得できるようにデザインされており、脳内では英語と日本語の区別すらありません。科学的に表現するなら「多言語脳」が正しい。日本人は思考が母語の日本語を自動的に介するので、「母語で考えるな」と強いても不可能です。

4ニュースも映画も、聞き取れません

 まずは「耳コピ」に徹しましょう。耳コピとは「聞いた英語をできるだけ忠実に脳にコピーして再現すること」です。最初は短期記憶ですぐに忘れてしまいますが、同じ音声を何度も聞くことで長期記憶に移行し、記憶されます。その過程では脳の「海馬」が働きます。とくに最初は全体像を捉え、言葉の細部や単語の意味は気にしないことがポイントです。

5英語学習を続ける秘訣は?

 英語習得を勉強と捉えるのをやめることです。「勉強」は便利な言葉なのですが、「勉強をしないでいかに自然に身につけるか」を考えましょう。文字からではなく音声から入ることもポイントです。「文字からの学習」という発想は、残念ながら英語習得の足かせになっています。何回聞いても苦にならない音楽や映画などを選び耳コピすることです。

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