学校は友達との出会いの場でもある
どこに指標を置くかにもよるが、中学受験で満足のいくレベルの学校に受かる可能性が低い場合にも、受験のタイミングには一考の余地があるといえる。
「多感な時期に学校でどんな友達や先生に出会えるかということは、人生においてとても大切なことです。私立では、同じような家庭環境で同じぐらいの学力の子どもが集まっていることがほとんどです。もちろん優れた学校に行けば、それに応じて優れた人に出会える確率が高くなるでしょう」
東京23区では、多いところではほぼ半分の子どもが中学受験をする区もある。こうしたエリアに住んでいれば、子ども自身が中学受験を希望する可能性も高くなる。一方で地域によっては、力のある子どもが公立に通うケースもまだ多くある。
「優秀な公立高校のある地域に住んでいる場合など、多様性の高い公立でいろいろな友達と付き合いながら学力を伸ばすのもひとつの手です」
わが子をよく見ることで受験の時期が決まる
では反対に、中学受験が勧められるのはどんな場合か。これもやはり決め手は子どものやる気だ。だが子ども自身が望んでも、下に弟妹がいたり、収入の問題があったりと、家庭の財政から見て難しいこともあるだろう。
苦手科目があるほど中学受験が得な例も
安田さんはそうしたケースに次のようにアドバイスする。「私自身は、家庭の経済状況を子どもにストレートに話してもいいと思います。自らの意思で受験を希望するのだから、それぐらい大人扱いして、しっかりと家族で話し合って決めるべきです。優れた人であることとお金がたくさんあることは別のことです。お金がないことが恥ずかしいことではないということも、きちんと伝えてください」
財布事情も考えて、公立の中高一貫校を主軸に受験スケジュールを組む家庭も多い。ただし保護者世代の公立高校の入試をイメージしていると、公立中高一貫校の入試問題はまったく別のものなので要注意だ。私立の入試ともまた異なる傾向があり、専用の対策が欠かせない。
また、得意科目に偏りがある場合も中学受験が向いているかもしれない。
「高校受験でレベルの高い学校に行く子どもは、オール5に近い成績を求められます。実技も含めた内申点では、わが子は高校受験を勝ち抜けない─そうジャッジする保護者も多くいます」
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