――記憶にまつわる物語ですが、道枝さん自身の記憶力は?
記憶力はいいほうですね。でも、だから忘れたい記憶もあって。ライブ中、僕をずっと見てくれている方がいたんです。僕のうちわは持ってなかったけど、喜んでもらいたくてファンサービスをしたら、「え?」みたいな微妙な反応で。あれはめっちゃ恥ずかしかった。確かにうちわは「恭平」とかでしたけど(笑)、やっちゃったな~って。
あと、僕はあんまり自分に自信がないタイプで。「金田一少年の事件簿」のプロデューサーさんに、「あなたは選ばれてるんだから、もっと自信を持って」と叱咤激励されたことがありました。それで、メンタルを変えていかないとダメだなと。それはすごく印象に残ってるし、ずっと忘れられない記憶になるんだろうなと思います。
――「母になる」で俳優デビューして5年。演じることへの気持ちの変化は?
最初はもう、肩の力が入りまくってたけれど、だんだんリラックスできるようになりました。ちゃんと相手のせりふを聞いて、こっちも気持ちが揺らいでせりふが出る。それがやっといい感じでできるようになったかな。あと、お芝居のなかで自分でも予期せぬ行動というか、勝手に体が動く瞬間がたま~にあるんです。この現場でもありました。
透の家族は明るかったお母さんを亡くして、バラバラになってしまっている。透も普段はあまり感情を出さないんですが、お父さん(萩原聖人さん)に感情をぶつけるシーンがあって。気持ちを吐き出した後、そこにあったお母さんの写真を自然と見つめていたんです、透が。予定していた動きじゃなかったから自分でもびっくりしました。そのテイクが使われてるかはわからないんですけど、そういう瞬間を増やしていけたらいいなと思います。
――もうすぐ二十歳。これからやってみたいことや、挑戦したい役は?
将来的には刑事役とかやってみたいです。けど、今しかできない役は、今のうちにやっておきたいですね。高校生とか大学生の役とか。二十歳になったら? メンバーとお酒を飲んでみたい。まず最初はレモンサワーを飲む! それは決めてます。おいしそうってイメージなので(笑)。
――最後に映画の見どころを!
一日一日だけじゃなく、一瞬一瞬を大事にしたくなる映画です。いろいろな立場から、さまざまな感情になれると思う。たくさんの方に見ていただけたらうれしいですね。
(取材・文/大道絵里子)
みちえだ・しゅんすけ/2002年、大阪府出身。21年11月12日、「初心LOVE」でCDデビューした人気アイドルグループ「なにわ男子」7人組のメンバー。映画や舞台のほか、テレビドラマ「消えた初恋」(テレビ朝日系)、「金田一少年の事件簿」(日本テレビ系)などに出演。
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