少子化にもかかわらず、年々増加する私立小学校の受験者。『AERA English特別号「英語に強くなる小学校選び2023」』では、「お受験」の専門家であるジャック幼児教育研究所理事・吉岡俊樹さんと、バレクセル代表・野倉学さんの2人を取材。注目の小学校や保護者の意識の変化について、最新データをもとに探る。
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コロナ禍では2度目となった2022年度の入試。小学校受験の専門サイト「お受験じょうほう」によると、首都圏の私立小の合計志願者数は2万4287人と、4年前と比べると3割近く増加した。
「お受験じょうほう」を運営するバレクセル代表の野倉学さんは、「公教育への不安を背景に受験者数を年々増やしてきた私立小ですが、コロナ禍がその傾向に拍車をかけたのでは」と分析。「オンライン授業への素早い移行など、ICT教育の充実にも関心が集まった」という。
少子化が進むなかでも、志願者数が伸びた学校(図A参照)にはどのような特徴があるのか。まず目につくのは、併願しやすい日程や試験時間の短縮を取り入れた学校が志願者数を伸ばしていることだ。感染症対策で、時短や入試日の分散に取り組む学校が増え、「コロナ禍を機に入試改革が進みました」(野倉さん)。
「横浜雙葉小学校はお弁当考査をなくすなど、昨年に続き、時間を短縮。その結果、同日の併願受験も視野に入れて志望する家庭が増えたのでは」とジャック幼児教育研究所で理事を務める吉岡俊樹さんはいう。ランキング8位の桐朋学園小学校も試験期間・時間を短縮した。多くの小学校が入試日程の分散や時短に取り組んだ結果、「11月1日という・本命・が集中する日に、3校受けられた家庭もありました」(吉岡さん)。
2位の昭和女子大学附属昭和小学校の躍進の背景には、学校としての体制の変化もありそうだ。「新校長に代わり、幼児教室や幼稚園・保育園に足を運んだ学校説明会など広報活動に力を入れています」(吉岡さん)。
またランキング上位を占めるのは、宗教教育を行っていない小学校。「カトリック系女子校などの伝統校に魅了される家庭がある一方で、宗教教育に抵抗感を持つ家庭も少なくありません。そうした一定の需要の表れでは」(野倉さん)。
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