そこで気になったのが、相談文にある「時間がないのに連絡帳を書かなければならない~」の、「時間がない」っていうところ。よしおが小学生のころと比べて最近の小学生は勉強しなきゃいけない範囲が増えて、委員会とかもあって、やることが多いという話も聞いたよ。たしかにとっても忙しいかもしれないんだけど、「時間がない」って思ってしまうと、本当に焦ってしまわないかな?

 一日は24時間って決まっているよね。みんなそれぞれ違う時間を過ごしているけど、時間の長さは変わらない。そんなときその時間を「ない」って考えてしまうと余計に時間がなくなっちゃうように、よしおは感じてしまうんだ。君のその「時間がない」って思って焦る気持ちが、字の乱れにつながっているんじゃないかな、って思ったよ。

「時間がない」って思いながら丁寧に書こうとしても、やっぱり「はやく次に行かなきゃ!」っていう気持ちになっちゃうと思うんだ。やることがたくさんあるし、宿題が多くて疲れちゃうのもわかるんだけど、一旦立ち止まって、時間がないからこそゆっくり丁寧に字を書くことにチャレンジしてみない? なにか一つの時間だけでもいいから「ゆっくり丁寧に書く」ことだけを意識すれば心に余裕ができて、気持ちも落ち着くと思うんだ。字が乱れて書き直しになってしまったら、それこそ時間がもったいないよね。

 よしおの知り合いで、すごくせっかちな人がいるんだけど、その人が「最近せっかちじゃなくなったんだ」って教えてくれたんだ。どうしてだろう、と思って理由を聞いたら、「朝の歯磨きをゆっくりするように意識したんだ」って教えてくれた。いままで「時間がない!」って急いで歯を磨いていたのを、3倍くらいの時間をかけるようにしたら、その日一日ゆとりを持って過ごせるようになったんだって。気持ちから行動が決まっているとしたら、行動を変えることで気持ちが変わることもあるんだな、って思ったよ。

NEXT字を書くことは心のトレーニングに
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