世界選手権で全5種目メダルを獲得した日本のバドミントン。来年の東京五輪でも多くのメダルが期待されるが、なぜ強くなったのだろうか。小中学生向けのニュース月刊誌「ジュニアエラ」11月号に掲載された記事を紹介する。
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世界のバドミントン界で日本が「王国」を築いている。8月にスイスで行われた世界選手権で、男子シングルスの桃田賢斗と女子ダブルスの永原和可那、松本麻佑組が2大会連続で金メダルに。加えて、男子ダブルスと女子シングルス、女子ダブルスで銀、混合ダブルスで銅と、全5種目でメダルを獲得した。計6個は、昨年の世界選手権に続く最多タイ。もちろん、来年の東京五輪での活躍も期待されている。
飛躍の理由は、いくつか挙げられる。まず、日本バドミントン協会が若い選手をどんどん海外の試合に派遣し、経験の場をつくってきたことだ。その資金は、2008年北京五輪に出た小椋久美子、潮田玲子組の「オグシオ」人気でバドミントンが注目を浴び、スポンサーが増えたことで賄えるようになった。
また、何よりも、04年に日本代表監督に就任した韓国人の朴柱奉(パクジュボン)氏の存在が大きい。朴氏は1992年バルセロナ五輪男子ダブルスの金メダリスト。韓国では「英雄」と称される指導者だ。この朴監督が、それまで選手が所属する実業団チームに強化を任せていたのを、代表合宿を重ねることで選手たちを競わせるシステムに変えた。常に代表の中で切磋琢磨し、海外で強豪に挑む場を積極的につくる。朴監督の妥協なき挑戦が花開いたのだ。
日本と韓国は最近、国同士の関係が悪くなっている。45年まで日本が韓国を植民地支配していた歴史等から、両国では人々のわだかまりがなかなか消えない。でも、そんな中でもスポーツや文化の場をはじめ、民間の交流は以前からたくさんある。バドミントンの成果がその一つであることを、ぜひ知っておいてほしい。(朝日新聞編集委員・中小路徹)
※月刊ジュニアエラ 2019年11月号より