話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』では、毎号、一つのスポーツを取り上げて、やっても見ても楽しくなるうんちく(深~い知識)を紹介するよ。9月号では、9月14日から世界選手権が始まるレスリングを取り上げました。
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<競技の内容>
二人の競技者が直径9メートルのマット上で取り組み、相手の両肩を同時にマットにつけることなどで勝敗を決める格闘技。全身を自由に攻められるフリースタイルと、下半身の攻防が禁止されているグレコローマンスタイルとがある。女子はフリーのみ。競技者の体重により階級を分ける。
<レスリングのうんちく6連発>
(1)古代五輪では裸で競技!
レスリングは「人類最古の格闘技」といわれ、ギリシャの古代五輪でも行われていた。出場選手は男子だけで、当時の様子を描いた絵には、パンツもはかず、真っ裸で競技する姿が見られる。ただし、これはレスリングだけでなく、短距離走などほとんどの競技で真っ裸が基本だった。理由はよくわかっていない。
(2)リンカーンもレスリング経験者!?
レスリングは、近代スポーツになっただけでなく、アメリカで現在のプロレスへと発展した。第16代アメリカ大統領のリンカーンは身長193センチの巨漢で、若き日はレスラーとして活躍し、ならず者と対戦し、引き分けたこともあるという。
(3)赤と青はどう決める?
選手は赤と青のコーナーに分かれ、自分の色のユニホーム(シングレット)を着用する。対戦表の番号の小さいほうが赤になるのが基本。選手は赤と青、2着を用意して試合に臨むが、1着ですむよう、裏返すと違う色になる、赤・青リバーシブルのものも使われている。
(4)試合中必ず所持するのは何?
レスリングの試合中に選手が必ず身につけておかなければならないのがハンカチで、シングレットの中に入れておく。出血したとき傷口をすばやく押さえるためのマナーで、持っていないと注意を受ける。
(5)グレコローマンってどういう意味?
レスリングの二つのスタイルのうち、上半身の攻防に限られるグレコローマンスタイルのほうが、全身を自由に攻められるフリースタイルよりも歴史は古い。グレコとは、「ギリシャの」、ローマンとは「ローマの」という意味で、古代ギリシャ・ローマ時代からの流れをくむ、歴史あるものであることを示している。
(6)ぬいぐるみはなぜ投げ入れられた?
リオ五輪の試合中、大会マスコット・ビニシウスの人形がたびたびマットに投げ込まれた。これは、判定に不服がある場合、1試合に1回だけ認められているチャレンジ(ビデオ判定)を要求する合図。各コーナーの色がついたスポンジを使うのが一般的だが、リオ五輪では青か赤のユニホームを着用したマスコットが使われたのだ。
※月刊ジュニアエラ 2019年9月号より