2020年度から本格的に始まる小学校での英語教育。5、6年生は教科となるなど、学年とともに英語の比重が上がってきます。そこで気になるのが家庭でのサポート。「英語が苦手だし、習い事はお金がかかる。一体どう準備すれば?」と心配している親も多いのではないでしょうか。『AERA with Kids秋号』(朝日新聞出版)では、そんな家庭にぴったりな英語教材を多数紹介しています。
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英語に触れさせたいと思っても、何をどうはじめたらいいのかがわからない、という人も多いと思います。玉川大学名誉教授の佐藤久美子先生によると「英語は言葉。赤ちゃんがどのようにして言葉を覚えていくのかイメージすると、英語を身につけるプロセスも分かりやすい」と話します。例えば、子どもが母語である日本語をどのように覚えてきたのかを思い出してみましょう。まず単語を覚え、カタコトで話し、たくさんの音を取り込みながら、少しずつフレーズを覚えてきたはずです。同様に英語も単語を覚え、音をインプットして、フレーズが増えてきたら自分から話すことを繰り返し、最後に書くという流れで取り組むと、スムーズに習得できると佐藤先生は説明します。「とはいえ、毎日日本語に触れて覚えたように、英語も毎日触れていかないと、生活のなかで覚えるのはなかなか難しいですね」(佐藤先生)。
では、英語が苦手なママたちが毎日英語に触れられる環境を作るには、どのような教材を選べばいいのでしょうか。自宅で子どもたちに英語を実践している人気ブロガー「究極のおうち英語研究会」のLizさん、Camayさん、あー子ママさんによると、「短時間でもいいから毎日続けられるものを選ぶといいですね。とにかく子どもの好きなジャンルの音楽や動画、絵本を途切れることなく家庭内に置くようにしています」と話します。
「好きそうな絵本をテーブルにそっと置いたり、英語の子ども番組をつけてあげたり。おもちゃやゲームと、飽きないように興味を引くものをポン、と入れると、子どもはぐいぐい引き込まれて、『お楽しみの時間』になる。自然な感じで英語が浸透していきます」と話すのは、あー子ママさんです。例えば、子ども番組のDVDは数多くありますが、意味が分からなくても楽しんで見続けることができるそう。また、Youtubeなら同じくらいの子どもがやっている「おもちゃを紹介する動画」や、「英語でのゲーム実況」など、興味のあるものは時間を決めて見させるほど大好きだとか。「身近で手軽な動画は、お金がかかることもなく、英語の音、言葉、音楽、物語など、全部の要素を取り込める。今の時代には欠かせないですね」(Lizさん)
絵本を与えるときは、次々購入しなければならず、買いに行くのも選ぶのも大変です。ましてや絵本がどんどん増えてしまい、リビングが物であふれるということも。
「そういう場合は、月々決まった値段で絵本をダウンロードできる、『epic!』や『Little Fox』といったサイトもおススメです。タブレットがあれば読むことができて、1冊1冊購入するより多くの本を読むことができます。家の中に本が増えて狭くなることもないし、本を買うより安く感じますよ」(Camayさん)
しかし、もし一緒に読んであげるときに自分の発音や読み方に自信がない、という場合は「音声ペンが付いた絵本がおススメ」と佐藤先生。フレーズが豊富で読む力と話す力の両方の力が付くOxford Reading Treeシリーズ(オックスフォード大学出版局)は、ページに対応したシールを貼り、タッチペンを当てると自動で読んでくれます。絵本意外にも『英検に役立つ小学えいご絵じてん800』(旺文社)にもタッチペンが付いていて、正しい発音を聞きながら単語やフレーズを覚えることができそう。
「ここ最近ではネイティブの音源を入手しやすくなり、家庭で英語を楽しむにはとてもいい時代です。勉強をさせようとしすぎて英語嫌いにならないよう、一緒に楽しむつもりで使って行けるといいですね」(佐藤先生)
高濱正伸,安浪京子,tomekko