異常気象と地球温暖化は、どのような関係にあるのだろう。

 国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2013~14年にかけてまとめた最新の第5次評価報告書によると、陸域と海上を合わせた世界の平均地上気温は、1880年から2012年に0.85度上昇した。いまでは1度を超え、最後の氷河期が終わった約1.2万年前の後、最も高くなっている。気温上昇の主な原因が人間活動である可能性は、極めて高い(95%以上)という。

 報告書は、「中緯度の陸域のほとんどで、極端な降水がより強く、より頻繁となる可能性が非常に高く、降水量は地域によって差が激しくなる」と予測した。気象庁は、「日本でもすでに、アメダスで観測された1時間降水量50ミリメートル以上の『短時間強雨』は増加傾向が明瞭に現れている」とする。

 報告書は、「世界平均気温が上昇するにつれて、ほとんどの陸域で、極端な高温がより頻繁になることはほぼ確実」ともしていた。コンピューターによる気候モデルの計算でも、東アジア地域では、20世紀には20年に一度しかなかったような極端に暑い日や大雨が、今世紀には頻繁に起きるようになると予測していた。

 世界気象機関(WMO)によると、この夏、米国カリフォルニア州や北アフリカでは50度以上を観測、北欧の北極圏でも30度以上を記録し、森林火災が相次いだ。18年は、まさにIPCCの科学的な予測が現実になったような夏になった。

 世界的な環境科学者であるヨハン・ロックストローム氏も、「個々の異常気象と地球温暖化を単純に結びつけることはできないが、温暖化が気候に影響を与え、異常気象の多発をもたらしているのは間違いない」と言っている。

 世界はIPCCの科学的評価を基に、世界の平均気温の上昇を2度未満に抑え、できるだけ1.5度未満を目指す、とするパリ協定に合意している。ただし、2度未満に抑えても、サンゴ礁の白化や異常気象の増加、海面上昇などの影響が予想される。消滅の危機にある島国などの要求を受けて、IPCCは今年10月、1.5度目標に関する特別報告書をまとめて公表する。

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