「ゲームのやりすぎで問題行動が続くのは病気」と世界保健機関(WHO)が認めた。ただのやりすぎと病気の境目はどこにあるのだろう? 毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』に掲載された、朝日新聞科学医療部・大岩ゆりさんの解説を紹介しよう。
* * *
スマートフォンなどでゲームをつい夜遅くまでやってしまい、次の日に学校ですごく眠かった、あるいは寝坊して遅刻してしまった、ということはないだろうか。
「たまにある」というのではなく、長い間、ゲームのやりすぎで学校に行けなくなるなどの問題がずっと続く場合、それは病気である……WHOが6月、こう認めた。こういう病気は「ゲーム障害」と呼ばれる。日本では「ゲーム依存症」とも呼ばれる。
「ゲーム障害」という病名が明記されたのは、WHOが出している「国際疾病分類」の改訂最終案の中だ。日本をはじめ多くの国が国民の死亡原因や患者の統計をとるときに使っている分類だ。28年ぶりに改訂されることになり、約10年前からWHOと世界各国の専門家が議論を重ねてきた。正式には2019年5月、WHO加盟国が参加して開く世界保健総会で決まる。
■やめようと思ってもやめられない!? 依存症
依存症は、やめようと思ってもやめられず、そのために寝不足になったり不登校になったり、さまざまな問題が起きる病気で、心の病気、精神疾患の一つだ。すでに病気として認められている依存症には、パチンコなどギャンブルへの依存症や、お酒がやめられないアルコール依存症などがある。
インターネットが関係する活動の中で、のめりこみすぎて問題が生じるものにはゲーム以外にLINEなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)もあるが、今回のWHOの分類の改訂では、科学的な裏付けがもっとも集まっているゲームの依存症が病気と認定された。
次のページへゲーム障害と診断されるのは…